
警察庁の統計では、古物商の許可件数は令和2年末の395,526件から令和7年末の614,118件へ増えています。5年で約55%増です。古物市場主を合わせた古物商等では令和7年末に615,194件で、前年比+42,170件です。
ここで時系列の扱いに注意が要ります。平成30年末は787,779件、令和元年末は778,332件で、令和2年に半減しているように見えますが、これは実数の減少ではありません。令和2年4月1日施行の改正で、許可の単位が「営業所等の所在する都道府県ごと」から「主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会」の1件に改められたためです。改正前後をつなげて増減を語ることはできません。
使えるのは令和2年以降の推移です。R2 395,526件、R3 440,874件、R4 483,276件、R5 529,024件、R6 571,946件、R7 614,118件と、毎年増え続けています。地図検索で並ぶ競合が増えているという体感は、この数字と整合します。
ただしこの統計に都道府県別の内訳はありません。全国計のみです。自分の商圏で競合が何件増えたかは、この資料からは分かりません。商圏の競合数は、地図上で実際に数えるか、各都道府県警の公表資料を当たることになります。
買取市場のチャネル構成比は、店頭買取78.2%、出張買取10.0%、宅配買取9.5%です(2023年、消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」掲載値)。出張と宅配は合わせても2割弱で、店頭が圧倒的に多い構成です。
地図検索の対策が買取業で意味を持つのは、この構成比が土台にあるからです。話題としては出張買取や宅配買取が扱われることが多い一方、実際の取引の8割は客が店に来て成立しています。所在地が検索結果に出ることは、その8割に直接効きます。
同時に、地図に出る情報の価値は商圏の中に限られます。買取市場全体で見ても、消費者が排出先を選んだ理由(最も重視した1つ)は金銭的な理由39.7%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから19.2%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから14.6%、自分で運搬する必要がなく家まで取りに来てくれるから6.2%です。金銭以外の6割は、手間と距離と気持ちで決まっています。
地図に出す情報を組み立てるとき、この構成が判断材料になります。営業時間、駐車場の有無、買取品目、持ち込み時に要るものといった情報は、「手間をかけさせない」という側の要素です。買取価格の訴求だけを並べても、選ばれる理由の4割しかカバーしていないことになります。
古物営業法第12条第1項は、営業所・仮設店舗・古物市場ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲示することを義務づけています。これは店頭に出す物理的な標識で、違反は第35条第2号により10万円以下の罰金の対象です。地図の情報とは別に、実店舗側で満たしておく義務です。
第12条第2項は別の義務です。事業規模が著しく小さい場合等を除き、氏名、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号をインターネット上で公衆の閲覧に供することを義務づけています。ホームページを持っているなら、そこに掲載する形が基本です。
この2つは方向が逆に見えますが、性質が違います。標識は掲示しなければ違反になるもので、地図上の情報は掲示すること自体は任意です。一方で第12条第2項の公表は、店舗の存在をネット上で示すこととは別に、許可情報そのものを開示する義務です。地図のプロフィールに会社概要ページへのリンクを置くなら、そのリンク先に許可情報が載っているかを確認します。
実務としては、地図のプロフィールで公開する所在地・電話番号・営業時間と、許可申請時に届け出た営業所の情報がそろっているかを見ます。許可は主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係に申請し、手数料は19,000円、標準処理期間は約40日です。営業所を移転したのに地図の住所だけを更新して届出を怠ると、掲示と公表と届出の3つが食い違います。
| 地図に出す項目 | 対応する義務・規制 | 確認すること |
|---|---|---|
| 所在地・店舗名 | 古物営業法第12条第1項(標識の掲示) | 営業所に標識を掲示しているか。違反は第35条第2号で10万円以下の罰金 |
| 会社概要・許可情報へのリンク | 古物営業法第12条第2項(インターネット上での公表) | 氏名・許可をした公安委員会の名称・許可証番号がリンク先に載っているか |
| サービス提供地域 | 古物営業法第14条第1項(受取場所の制限) | 受け取る場所が営業所か相手方の住所・居所か。違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 出張買取の受付 | 特定商取引法(訪問購入) | 氏名等の明示、不招請勧誘の禁止、書面交付、8日以内のクーリング・オフ |
| 催事・期間限定会場 | 古物営業法第14条第1項但書(仮設店舗の事前届出) | 届出済みの日時・場所と掲載内容が一致しているか。会場にも標識を持参しているか |
| 買取価格・キャンペーンの投稿 | 景品表示法(5類型・常態化) | 金額の根拠が帳簿で特定できるか。キャンペーン期間が連続していないか |
| 口コミの依頼 | ステルスマーケティング告示・景品表示法(総付景品) | 対価や内容の指定があるか。券で渡すなら今回の買取価格の20%以内か |
| 店舗写真 | 古物営業法第15条・第16条(確認・記帳)/防犯 | 本人確認書類・帳簿・保管場所・防犯設備が写り込んでいないか |
古物営業法第14条第1項は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めています。違反は第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。2022年の刑法改正で懲役と禁錮は拘禁刑に一本化され、2025年6月1日に施行されています。
この条文が、出張買取の根拠であり同時に制約です。相手方の住所・居所であれば受け取れるため、自宅への訪問は成立します。逆に、駅前のカフェや駐車場で受け取る、こちらが指定した場所に持ってきてもらって受け取るという運用は、営業所でも相手方の住所でもないため成立しません。
地図上でサービス提供地域を広く設定すること自体は、営業所の場所を変えるものではありません。広い範囲を出したうえで「近くまで伺います」という運用にすると、受け取る場所が営業所でも相手方の住所でもない形になりやすくなります。地域設定を広げるなら、その地域で受け取る場所がどこになるかを先に決めます。
出張で受け取る場合、地図の情報とは別に特定商取引法の訪問購入の規制もかかります。氏名等の明示、不招請勧誘の禁止、再勧誘の禁止、書面交付、引渡しの拒絶に関する告知、法定書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフです。地図経由の問い合わせから訪問につなげる導線を作るなら、この手順を現場の手順書に落としておきます。
第14条第1項の但書により、仮設店舗については、日時と場所を事前に管轄の公安委員会へ届け出れば古物を受け取ることができます。催事買取が成立しているのはこの規定によるものです。届出をしていない会場での受取は、第14条第1項の違反になります。
仮設店舗にも第12条第1項の標識掲示義務がかかります。条文は営業所・仮設店舗・古物市場ごとに掲示することを定めているため、催事会場でも公衆の見やすい場所に標識を出します。常設店舗の標識だけを用意して会場に持って行かないと、この点で満たせません。
地図の運用としては、期間限定の会場を情報として出すかどうかを判断します。出す場合は、届出済みの日時・場所と、地図に出した日時・場所が一致していることを確認します。会期が延びたのに届出を出し直していない状態で地図の情報だけを更新すると、届出と実態がずれます。
会期終了後の扱いも決めておきます。終了した会場の情報が地図に残ると、行った人が営業していない場所に着きます。掲載の開始と終了を届出の日程と同じ表で管理すると、この抜けが起きにくくなります。
ステルスマーケティングに関する告示(令和5年10月1日施行)により、事業者の表示であることを一般消費者が判別しにくい表示は不当表示として扱われます。口コミは第三者が自発的に書く限り事業者の表示ではありませんが、事業者が内容に関与すると扱いが変わります。
判断の起点は関与の有無です。対価を払って書いてもらう、書く内容を指定する、投稿を条件に査定額を上げるといった関与があれば、事業者の表示として扱われる方向になります。買取業では対価が査定額の上乗せという形を取りやすいため、この線を越えやすい構造があります。
対価の扱いにはもう1つ論点があります。その場で買取価格に上乗せするなら、上乗せ分を含めた買取価格全体が取引の対価になるため、原則として景品類には当たりません。一方、次回使える買取価格アップ券やポイントとして渡すと総付景品にあたり、上限は取引価額が1,000円以上なら取引価額の20%、1,000円未満なら200円です。今回の買取価格が1万円なら上限は2,000円です。
口コミに具体的な買取金額が並ぶ場合も、事業者が関与していれば事業者の表示です。令和7年4月30日の実態調査報告書は、買い取った実績のない金額を「買取実績価格」と表示することを不可としています。依頼して書いてもらった口コミに金額が含まれるなら、その金額で成立した取引を古物営業法第16条の帳簿で特定できる状態にしておきます。
消費者庁は令和6年4月18日、景品類等の指定の告示の運用基準を改定し、査定して物品を金銭と引き換える役務も「自己の供給する役務の取引」に当たると規定しました。買取サービスが景品表示法の対象になり得ることが明確になっています。地図上のビジネス名や説明文も、事業者の表示です。
令和7年4月30日の実態調査報告書が整理した5類型のうち、地図の説明文で出やすいのは「どこよりも高く買取り」です。報告書は、「買取価格地域No.1」と表示しながら競合他社の買取価格を何ら調査していない場合を問題として挙げています。書けるかどうかは表現ではなく、調査記録の有無で決まります。
「何でも買取り」も同じです。特段の条件なくどのような状態でも買い取ってもらえると受け取られる表示について、持ち込んだ物品の一部または全部を買い取らない場合は優良誤認にあたるとされています。地図の説明文は文字数が限られるため、条件を省いて「何でも」と書きやすい構造があります。扱う品目を書き切る形にします。
投稿機能で期間限定の買取価格アップを告知する場合、キャンペーンの常態化にも注意が要ります。報告書は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例を挙げています。投稿ごとに期限が切ってあっても、期間をつなげて連続していれば同じことです。開始日・終了日・内容を一覧で管理します。
買取業は、盗品が持ち込まれることを前提とした規制を受けている業種です。令和7年中の古物商による不正品申告は129件で、区分別では道具類37件、時計・宝飾品類31件、機械工具類22件、書籍17件です。上位3区分で90件と、全体の約7割を占めます。写真機類と金券類は0件です。
店舗写真を地図に出すとき、この前提が判断に関わります。買取カウンターの背後にある保管棚、金庫の位置、防犯カメラの死角、裏口や搬入口の様子が写り込むと、店内の構造が公開されます。地図の写真は誰でも閲覧できるため、掲載後に閲覧者を選ぶことはできません。
同時に、査定中の相手方や本人確認書類が写り込まないようにします。古物営業法第15条第1項の確認と第16条の記帳は同じ場所で行われるため、カウンターを正面から撮ると入りやすくなります。撮影する範囲を先に決め、確認と記帳を行う場所を外します。
写真で伝えたいのは、来店の不安を下げる情報です。外観、入口、駐車場の位置、待合スペース、買取カウンターの雰囲気までで足ります。在庫の量や保管場所を写して規模を示す必要はありません。この線引きを撮影前に決めておくと、撮り直しになりません。
| # | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 営業所に標識を掲示しているか(古物営業法第12条第1項) |
| 2 | 氏名・許可をした公安委員会の名称・許可証番号を、インターネット上で閲覧できる場所に掲載しているか(同第2項) |
| 3 | 地図に出している所在地・電話番号と、許可申請時に届け出た営業所の情報が一致しているか |
| 4 | サービス提供地域を広げている場合、その地域で古物を受け取る場所が営業所か相手方の住所・居所になっているか |
| 5 | 地図経由の問い合わせから訪問につなげる導線について、訪問購入の手順(明示・書面交付・8日間のクーリング・オフ)を手順書に落としているか |
| 6 | 催事会場を掲載する場合、仮設店舗の事前届出を済ませ、届出の日時・場所と掲載内容が一致しているか |
| 7 | 会期終了後に会場情報を取り下げる手順を、届出の日程と同じ表で管理しているか |
| 8 | ビジネス名や説明文に「地域No.1」「何でも」を使っていないか。使うなら競合調査の記録と、全品目を買い取る運用があるか |
| 9 | 期間限定の投稿について、開始日・終了日・内容を一覧で管理し、同一内容が連続していないか確認しているか |
| 10 | 店舗写真に、本人確認書類・帳簿・保管場所・防犯設備・搬入口が写り込んでいないか |
地図のサービス提供地域を広く設定し、「近くまで伺います」という運用で受け取ってしまう失敗があります。古物営業法第14条第1項は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で古物商以外の者から古物を受け取ることを禁じており、違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。駅前や駐車場での受取は、営業所でも相手方の住所でもありません。地域設定を広げるなら、その地域で受け取る場所がどこになるかを先に決めます。
営業所を移転したときに、地図の住所だけを更新して届出を後回しにする失敗があります。許可は主たる営業所の所在地を管轄する警察署に申請し、標準処理期間は約40日です。地図の情報、店頭の標識(第12条第1項)、インターネット上での許可情報の公表(第12条第2項)、届出内容の4つがそろっていない状態が続きます。移転の予定が決まった時点で、この4つを1つのチェックリストにまとめます。
口コミを増やすために、投稿を条件として査定額を上乗せする運用にしてしまう失敗があります。ステルスマーケティングに関する告示(令和5年10月1日施行)により、事業者が対価を提供したり内容に関与したりした投稿は事業者の表示として扱われる方向になり、広告であることを判別できる表示が要ります。加えて、次回使える券やポイントとして渡す場合は総付景品にあたり、今回の買取価格が1万円なら上限は2,000円です。現場が個別に判断できる内容ではないため、実施可否を本部で決めます。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| MEOは買取店にとって、どれくらい効く施策ですか | 買取市場のチャネル構成比は店頭買取78.2%、出張買取10.0%、宅配買取9.5%で、取引の8割は客が店に来て成立しています。所在地が検索結果に出ることは、この8割に直接効きます。ただし効く範囲は商圏の中に限られます。効果の測り方は、地図経由の問い合わせ・来店の件数と、そこから成立した取引の売上総利益を記録することです。順位そのものは指標になりません。 |
| 地図のプロフィールに古物商許可の番号を載せる義務はありますか | 古物営業法第12条第2項は、事業規模が著しく小さい場合等を除き、氏名、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号をインターネット上で公衆の閲覧に供することを義務づけています。掲載場所を地図のプロフィールに限定する規定ではないため、自社のホームページに載せる形が基本になります。地図のプロフィールから会社概要へリンクしているなら、そのリンク先に載っているかを確認します。なお店頭の標識掲示は第12条第1項の別の義務で、違反は第35条第2号により10万円以下の罰金です。 |
| サービス提供地域を広く設定して、出張買取の集客に使ってよいですか | 地域設定を広げること自体は営業所の場所を変えるものではありません。古物営業法第14条第1項により、古物を受け取れるのは営業所か取引の相手方の住所・居所に限られ、違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。相手方の自宅に伺うなら成立しますが、こちらが指定した場所に持ってきてもらう運用は成立しません。加えて自宅での取引は特定商取引法の訪問購入にあたり、氏名等の明示、不招請勧誘の禁止、書面交付、法定書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフがかかります。 |
| 催事やイベント会場を地図の情報として出してもよいですか | 仮設店舗として、日時と場所を事前に管轄の公安委員会へ届け出ていれば、その会場で古物を受け取ることができます(第14条第1項但書)。地図に出す場合は、届出済みの日時・場所と掲載内容が一致していることを確認します。会場にも第12条第1項の標識掲示義務がかかるため、常設店舗の標識とは別に持参します。会期が終わったら掲載を取り下げる手順まで、届出の日程と同じ表で管理します。 |
| 口コミを増やすために、投稿してくれた方に特典を出してもよいですか | 2つの規制が同時にかかります。1つはステルスマーケティングに関する告示(令和5年10月1日施行)で、事業者が対価を提供したり内容を指定したりした投稿は事業者の表示として扱われる方向になるため、広告であることを判別できる表示が要ります。もう1つは景品規制で、次回使える買取価格アップ券やポイントは総付景品にあたり、上限は取引価額が1,000円以上なら取引価額の20%、1,000円未満なら200円です。今回の買取価格が1万円なら上限は2,000円になります。その場で買取価格に上乗せする形なら、上乗せ分を含めた買取価格全体が取引の対価になるため、原則として景品類には当たりません。 |
| 店舗の写真は、どこまで載せてよいですか | 来店の不安を下げる範囲までにします。外観、入口、駐車場の位置、待合スペース、買取カウンターの雰囲気で足ります。避けるのは、保管棚や金庫の位置、防犯カメラの配置、裏口や搬入口が分かる写真です。買取業は盗品が持ち込まれる前提の業種で、令和7年中の古物商による不正品申告は129件、道具類37件・時計宝飾品類31件・機械工具類22件が上位です。あわせて、査定中の相手方や本人確認書類が写り込まないよう、確認と記帳を行う場所を撮影範囲から外します。 |
| 説明文に「地域最高価格」と書いてもよいですか | 競合他社の買取価格を実際に調査し、その記録を持っているかで変わります。消費者庁の「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、「買取価格地域No.1」と表示しながら競合他社の買取価格を何ら調査していない場合を問題になる例として挙げています。令和6年4月18日の運用基準改定により、買取サービスも景品表示法の対象になり得ることが明確化されています。地図のビジネス名や説明文も事業者の表示なので、掲載中の広告と同じ確認を通します。 |
この解決策が打ち手になりうる課題を12件挙げます。












扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。MEOをジャンル別に見たページを用意しています。
店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。


