
電通「2025年 日本の広告費」のプロモーションメディア1兆7,184億円(前年比102.0%、構成比21.3%)は7区分に分かれています。イベント・展示・映像ほか4,748億円、屋外3,042億円、ダイレクト・メール2,708億円、折込2,354億円、交通1,736億円、POP1,540億円、フリーペーパー1,056億円です。この7区分にポスティングという項目はありません。
折込は新聞に挟んで配る形態を指すため、ポスティングとは配り方が違います。つまりポスティングの出稿額が増えているのか減っているのかは、この統計からは分かりません。 他所で見かける市場規模の記載は、出所を確認しないまま自店の判断材料にできません。
費用相場も同じです。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、このページでは1枚あたりや1回あたりの金額を示しません。 金額を比べたい場合は見積もりで比較します。
数字が無いことは、この媒体を使えないという意味ではありません。市場全体の伸縮を根拠にできないぶん、自店の商圏と配布結果だけを根拠に判断する、という進め方になります。
ポスティングに近い性質を持つのは、家庭のポストに紙が届く媒体です。折込2,354億円は前年比96.4%、フリーペーパー1,056億円は80.9%、ダイレクト・メール2,708億円は94.6%で、いずれも減っています。
同じプロモーションメディアの中でも、屋外3,042億円は105.3%、交通1,736億円は108.6%と伸びています。総広告費8兆623億円は前年比105.1%で4年連続の過去最高、インターネットは4兆459億円(110.8%)で構成比50.2%と半数を超えました。縮んでいるのは紙で配る系だけです。
ここから言えるのは、家庭に紙を届けるという手段全体が出稿額を減らしている、というところまでです。ポスティングだけが例外的に伸びていると考える根拠も、同じ比率で縮んでいると考える根拠も、どちらもありません。
そのうえで、折込との違いを1つだけ挙げるなら、新聞を購読していない世帯にも届くことです。折込の配布上限は新聞購読部数に縛られ、その新聞は2025年に3,136億円・前年比91.8%とマスコミ四媒体で最も落ちています。届く世帯の母数が違う、という点は判断材料になります。
紙を配る理由として、インターネットを使わない高齢層に届くという説明が置かれることがあります。買取業でこれを採るなら、その層がリユースを利用しているかを確認します。
環境省の2024年調査では、過去1年間にリユースを「利用したことがない」割合は、購入で10・20代63.2%、60代以上76.1%でした。約13ポイントの差があり、高齢層のほうが利用していません。 リユースショップ店頭での購入は40代が最多で15.1%、売却でもリユースショップの利用は30代が60代以上より4.1ポイント高くなっています。
配る根拠に置けるのは、買取市場のチャネル構成比のほうです。2023年の買取市場規模13,274億円のうち、店頭買取が78.2%、出張買取10.0%、宅配買取9.5%を占めます。買取の8割近くは客が自分で持ってくる取引であり、持ってこられる距離の世帯に届けば足ります。
そこで決めるのは、配布範囲の外周をどこに置くかです。自店から歩いて来られる範囲、自転車で来られる範囲、車で来て駐車できる範囲は別々の外周になります。品目によって持ち運べる大きさが違うため、刷る品目と外周をセットで決めてください。
| 知りたいこと | 一次情報の有無 | 代わりに使えるもの |
|---|---|---|
| ポスティングの市場規模・伸縮 | 無い(電通のプロモーションメディア7区分に項目が無い) | 折込2,354億円(96.4%)・フリーペーパー1,056億円(80.9%)から、紙で配る系が縮んでいることまで |
| 1枚あたり・1回あたりの費用相場 | 無い(媒体別の費用相場は未取得) | エリア・部数・用紙とサイズ・配布方式・配布日をそろえた見積もりの比較 |
| 配布範囲をどこまで広げるか | 有り | 買取市場のチャネル構成比。店頭買取78.2%/出張買取10.0%/宅配買取9.5% |
| 紙面に何を書くか | 有り | 排出先を選んだ理由。金銭39.7%/煩雑さの回避19.2%/運搬不要6.2%(最重視の設問) |
| どの品目を先頭に置くか | 有り | 不要品の発生率。書籍29.1%/衣類・服飾品25.8%/家具類17.2%/ブランド品14.4% |
| 配布員が声をかけてよいか | 有り | 特定商取引法の訪問購入。不招請勧誘の禁止に触れうる |
消費者の自宅等で契約を締結等して行う物品の購入は、特定商取引法の訪問購入に当たります。チラシをポストに投函する行為そのものは訪問購入ではありません。線が引かれるのは、その場で在宅者に声をかけ、買取の勧誘を始めた瞬間です。
訪問購入には不招請勧誘の禁止があります。相手方の自宅等で、売買契約の締結について勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認してはならない、という定めです。「不要品はありませんか」と尋ねること自体が、勧誘を受ける意思の確認に当たりえます。
ほかに、勧誘に先立って氏名・勧誘目的・購入しようとする物品の種類を告げる義務、再勧誘の禁止、書面交付義務、クーリング・オフ期間内の引渡しの拒絶に関する告知、第三者への引渡し通知があります。クーリング・オフは法定書面を受け取った日から数えて8日以内です。
チラシを見た人からの依頼で訪問することと、配布のついでに訪問することは別の行為です。 配布を外注する場合も同じで、配布員が声をかける運用にしないよう、業務の範囲を契約書で投函に限定してください。
2026年8月4日、九州経済産業局は宝石・貴金属・時計等の中古品を扱う3社に対し、業務停止命令9か月と指示、代表者への業務禁止命令9か月を出しました。2025年11月26日には消費者庁が1社に業務停止命令9か月を出しています。
2026年8月の3社に共通する違反行為は、氏名等の明示義務違反、書面の交付義務違反、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務違反、勧誘の要請をしていない者への勧誘、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、勧誘を受ける意思を確認しないで行う勧誘でした。適用条項は法58条の5、法58条の6第1項から第3項、法58条の8第2項、法58条の9です。
訪問購入で処分される典型は、不招請勧誘と書面不交付の組み合わせです。 特殊な手口ではなく、手続き義務の不履行で止まっています。配布員が在宅者と会話を始めた時点で、この類型に外形が近づきます。
相談件数そのものは減っています。PIO-NETの訪問購入は2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件で、2023年度がピークです。同じ基準の点検商法が2023年度12,550件から2025年度19,696件へ増えているのとは方向が逆で、「押し買いが増えている」という説明は現在の数字では支持されません。件数は減っていても処分は続いている、という状態です。
環境省の消費者調査(n=1,331、複数回答)では、不要品の排出先を選んだ理由は金銭的な理由56.0%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから39.4%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから33.6%、自分で運搬する必要がなく家まで取りに来てくれるから16.1%でした。
最も重視した理由を1つだけ選ぶ設問では、金銭的な理由39.7%、煩雑さの回避19.2%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから14.6%、運搬不要6.2%です。最重視でも金銭は4割弱で、残りは手間と気持ちと利便性で決まっています。
買取価格を上げると仕入原価がそのまま上がります。査定額が原価だからです。これに対して、予約不要・1点から・その場で現金・駐車場ありといった情報は原価を動かさずに来店理由をつくります。紙面の面積をどちらへ割くかを、この構図から決めてください。
品目も刷ります。過去1年に不要品が発生した人の割合は書籍29.1%、ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%、家具類17.2%、日用品・生活雑貨17.0%、ブランド品14.4%です。発生率の高い品目を先頭に置くほど、自分に関係のある紙として扱われます。
消費者庁は令和6年4月18日に運用基準を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。物品を査定して金銭と引き換える役務を提供していると認められる場合、「自己の供給する役務の取引」に当たるという整理です。
令和7年4月30日の「買取サービスに関する実態調査報告書」は、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5つです。
「何でも買取り」は、持ち込まれた物品の一部または全部を買い取らない場合に優良誤認とされます。 買い取れない品目や状態がある店は、その条件を同じ面に示すか、この表現を使わないという判断になります。ポスティングは面積の小さい紙が多く、条件を書く余白を先に確保しておかないと、強調表示だけが残ります。
期限つきのキャンペーンも同じです。報告書は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。同じ版を刷り増しして配り続ける運用は、この形になりやすい部分です。刷り増しのたびに期限を確認してください。
配布結果を反応率だけで評価すると、査定額を引き上げて反応を取った回が最も良く見えます。買取業で反応を増やす最短手段は買取価格の引き上げであり、それは原価の引き上げそのものです。
見る項目は、配布から2週間の来店客数、買取が成立した点数、その原価、売却までの日数です。中小企業実態基本調査(令和5年度決算実績、法人企業・小売業)では、従業者5人以下の在庫回転期間は55.9日、粗利率31.7%に対して営業利益率0.2%でした。従業者6〜20人は在庫回転期間32.6日、粗利率31.2%、営業利益率1.5%です。粗利率はほぼ同じで、差は回転に出ています。
ポスティングは配布エリアを細かく切れる媒体です。そのため区画ごとに結果を分けて記録できます。同じ紙を複数区画に配り、来店数と成立点数を区画別に見ると、紙の問題かエリアの問題かを切り分けられます。
費用の一部は小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の②広報費に当たります。第17回のガイドブック(2025年4月25日 第1版)では補助率2/3、補助上限50万円、インボイス特例で+50万円です。対象は商業・サービス業なら常時使用する従業員5人以下が目安で、公募回次ごとに条件が変わるため最新の公募要領で確認してください。
| # | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 配布区画の外周を、自店に持ち込める距離(徒歩・自転車・車)から決めているか |
| 2 | 刷る品目と、その品目を持ち運べる距離が対応しているか |
| 3 | 配布を外注する場合、業務の範囲を投函のみに限定し、在宅者への声かけを禁じているか |
| 4 | 配布員向けに、玄関で買取の話を始めない旨を文書で共有しているか |
| 5 | チラシを見た人から依頼を受けてから訪問する順序になっているか |
| 6 | 訪問時に、氏名・勧誘目的・購入しようとする物品の種類を告げる手順が決まっているか |
| 7 | 訪問購入の書面を交付し、クーリング・オフ8日以内であることを伝えているか |
| 8 | 「何でも買取り」と刷る場合、買い取れない品目や状態を同じ面に示しているか |
| 9 | 「買取実績価格」を刷る場合、その金額で実際に買い取った実績が手元にあるか |
| 10 | 刷り増しのたびに、キャンペーンの期限表示を確認しているか |
| 11 | 見積もりを、エリア・部数・用紙とサイズ・配布方式・配布日でそろえて比較したか |
| 12 | 配布区画ごとに、来店客数・成立点数・原価・売却までの日数を分けて記録しているか |
配布員が在宅者に「不要品はありませんか」と声をかける運用です。消費者の自宅等で行う物品の購入は特定商取引法の訪問購入に当たり、相手方の自宅等で売買契約の締結について勧誘し、または勧誘を受ける意思の有無を確認することは禁じられています。2026年8月4日には、勧誘の要請をしていない者への勧誘や勧誘を受ける意思を確認しないで行う勧誘などを理由に、九州経済産業局が3社へ業務停止命令9か月を出しました。外注する場合は、業務の範囲を投函のみに限定してください。
「ポスティングの市場規模は伸びている」といった前提で予算を組む状態です。電通「2025年 日本の広告費」のプロモーションメディア7区分にポスティングという項目はなく、出稿額の伸縮を示す一次情報がありません。隣接する折込2,354億円(96.4%)とフリーペーパー1,056億円(80.9%)から言えるのは、紙で配る手段が全体として縮んでいることまでです。判断は自店の配布結果に置いてください。
同じ版を刷り増して配り続け、期限つきのキャンペーン表示がそのまま残る状態です。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。ポスティングは在庫の紙を消化する形で配布が続きやすいため、刷り増しの判断と期限の確認を同じ工程に入れてください。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ポスティングの市場規模はどれくらいですか | 一次情報では確認できません。電通「2025年 日本の広告費」のプロモーションメディア1兆7,184億円は7区分に分かれていますが、その中にポスティングという項目はありません。折込2,354億円は新聞に挟む形態を指すため、ポスティングとは別です。言えるのは、折込96.4%、ダイレクト・メール94.6%、フリーペーパー80.9%と、紙で配る媒体が全体として縮んでいることまでです。 |
| ポスティングは1枚いくらぐらいですか | このページでは金額を示しません。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、根拠のある数値を出せないためです。比較したい場合は、配布エリアと区画、配布部数、用紙とサイズ、配布方式、配布日、印刷費と配布費の内訳をそろえた見積もりを複数取ってください。条件がそろっていない見積もりは、安く見えているだけのことがあります。 |
| 配布のついでに、在宅の人へ声をかけて買取を提案してもよいですか | できません。消費者の自宅等で契約を締結等して行う物品の購入は特定商取引法の訪問購入に当たり、不招請勧誘が禁止されています。相手方の自宅等で売買契約の締結について勧誘すること、勧誘を受ける意思の有無を確認することのどちらも対象です。2026年8月4日には、この類型を含む違反により3社が業務停止命令9か月を受けています。チラシを見た人からの依頼を受けてから訪問する順序を崩さないでください。 |
| 折込とポスティングは、どちらを選べばよいですか | 配りたい範囲の形で決めます。折込は新聞販売店の配達区域単位で指定するため区域の境界に縛られ、配布上限は新聞購読部数に縛られます。新聞は2025年に3,136億円・前年比91.8%とマスコミ四媒体で最も落ちています。ポスティングは新聞を購読していない世帯にも届き、区画を細かく切れます。ただし市場規模も費用相場も一次情報が無いため、両者を数字で優劣づけることはできません。自店の商圏の形と、区画別に結果を記録できるかで選んでください。 |
| チラシに「何でも買い取ります」と書いてもよいですか | 買い取れない品目や状態があるなら避けてください。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、何でも買取りを5類型の1つに挙げ、持ち込まれた物品の一部または全部を買い取らない場合は優良誤認に当たるとしています。令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることが明確化されています。条件を同じ面に示すか、表現そのものを変えてください。 |
| 配ったあと、何を見て判断すればよいですか | 反応率ではなく、来店客数・買取成立点数・その原価・売却までの日数の4つを区画別に記録してください。買取業で反応を増やす最短手段は買取価格の引き上げで、それは原価の引き上げそのものです。中小小売業では従業者5人以下の在庫回転期間55.9日・粗利率31.7%・営業利益率0.2%、6〜20人は在庫回転期間32.6日・粗利率31.2%・営業利益率1.5%で、粗利率がほぼ同じでも回転で差が出ています。集めた品が回転するかどうかまで見てください。 |
この解決策が打ち手になりうる課題を10件挙げます。










扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。ポスティングチラシをジャンル別に見たページを用意しています。
店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。


