
電通「2025年 日本の広告費」によると、マスコミ四媒体は2兆2,980億円で前年比98.4%、構成比28.5%でした。内訳はテレビメディア17,556億円(99.7%・構成比21.8%)、新聞3,136億円(91.8%・3.9%)、ラジオ1,153億円(99.2%・1.4%)、雑誌1,135億円(96.3%・1.4%)です。
四媒体の中で新聞だけが1割近く落ちています。 テレビ・ラジオが前年並みを保っているのに対し、新聞は8.2ポイント下げました。四媒体全体が98.4%にとどまっているのは、構成比の大きいテレビが横ばいだからで、新聞の下げが平均に薄まって見えている状態です。
同じ年の総広告費は8兆623億円で前年比105.1%、4年連続の過去最高です。インターネットは4兆459億円(110.8%)で構成比50.2%と初めて半数を超えました。市場全体が伸び、ネットが半分を占めた年に、新聞は1割近く縮んでいます。
ここで扱っているのは市場全体の出稿額です。1枠あたりの掲載料ではありません。 「新聞広告は1回いくら」の根拠にこの数字を使うことはできず、判断材料になるのは媒体の伸縮までです。
新聞の構成比3.9%は、インターネットの50.2%と比べて13分の1以下です。折込2.9%、屋外3.8%、ダイレクト・メール3.4%と同じ帯にあります。出稿の総量では、もはや主要媒体という位置づけではありません。
それでも新聞広告を選ぶなら、体積ではない理由が要ります。買取業で挙げられる理由は3つに絞られます。到達する範囲を紙面単位で確定できること、誌面に文章量を置けること、掲載日が動かないことです。
逆に、新聞広告に向かない条件もはっきりしています。配布範囲を町丁目単位で絞れないこと、掲載後に内容を差し替えられないこと、反応の出所を紙面から特定しにくいことです。折込であれば新聞販売店の配達区域単位で地域を指定できます。範囲を絞りたいなら折込、文章量を置きたいなら新聞広告という切り分けになります。
この選択は、店頭買取を伸ばすのか出張買取を伸ばすのかで変わります。買取市場13,274億円のチャネル構成比は店頭買取78.2%、出張買取10.0%、宅配買取9.5%です。店頭を伸ばすなら商圏の外へ届く紙面はそのまま原価になります。
新聞広告を選ぶ理由として、読者の年齢層が高いという説明が置かれることがあります。買取業でこの理由を採るなら、その年齢層がリユースを利用しているかを先に確認します。
環境省の2024年調査では、過去1年間にリユースを「利用したことがない」割合は、購入で10・20代63.2%、60代以上76.1%でした。約13ポイントの差があり、高齢層のほうが利用していません。 リユースショップ店頭での購入は40代が最多で15.1%、売却でもリユースショップの利用は30代が60代以上より4.1ポイント高くなっています。同調査は、40代と50代の間に大きな段差があると整理しています。
つまり「新聞を読む層」と「リユースを使う層」は同じではありません。 年齢を根拠に新聞広告を選ぶと、売る習慣のない読者に届く紙面へ費用を置くことになります。
年齢ではなく品目で考えると、別の見方ができます。不要品が発生した人の割合は書籍29.1%、ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%、家具類17.2%、日用品・生活雑貨17.0%、ブランド品14.4%です。特定の品目を強く買いたいときに、面で告知できる媒体という位置づけであれば、年齢を根拠にせずに済みます。
| 媒体 | 2025年の広告費 | 前年比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| テレビメディア | 17,556億円 | 99.7% | 21.8% |
| 新聞 | 3,136億円 | 91.8% | 3.9% |
| ラジオ | 1,153億円 | 99.2% | 1.4% |
| 雑誌 | 1,135億円 | 96.3% | 1.4% |
| マスコミ四媒体 計 | 2兆2,980億円 | 98.4% | 28.5% |
| インターネット | 4兆459億円 | 110.8% | 50.2% |
| (参考)折込 | 2,354億円 | 96.4% | 2.9% |
新聞広告は紙面に文章を置けます。この特性が効くのは、査定に説明が要る品目です。何を持ってくればよいか、どんな状態でも受けるのか、証明書が要るのか、といった条件を短い紙面で伝えきれない品目が該当します。
品目ごとの動きは統計に出ています。不要品のうち保管されたままの割合は、携帯電話・スマートフォン82.1%、ソフト・メディア類77.6%、パソコン・周辺機器77.4%、書籍56.3%、ブランド品53.4%です。家に眠っている量が多い品目ほど、掘り起こしに説明が要ります。
逆に、保管されずに動く品目もあります。ゲーム機器16.1%、自動車20.8%は保管率が低く、すでに流通に乗っています。保管を除いた排出先で「リユースショップに持っていき売却した」割合はゲーム機器72.3%、書籍37.3%、ソフト・メディア類32.8%、衣類・服飾品31.3%です。すでに店へ流れている品目に紙面を使う必要は小さくなります。
紙面には買取価格だけでなく、手続きの条件を置きます。排出先を選んだ最重視の理由は金銭的な理由39.7%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから19.2%、運搬不要6.2%でした。金銭は最重視でも4割弱で、残りは手間と気持ちと利便性で決まっています。買取価格を上げれば仕入原価がそのまま上がりますが、手続きの説明は原価を動かしません。
消費者庁は令和6年4月18日に「景品類等の指定の告示の運用基準について」を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。物品を査定して金銭と引き換える役務を提供していると認められる場合、「自己の供給する役務の取引」に当たるという整理です。
令和7年4月30日の「買取サービスに関する実態調査報告書」は、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5つです。買い取った実績のない金額を「買取実績価格」と表示することは不可とされています。
新聞広告に固有の論点は、掲載後に紙面を差し替えられないことです。相場が動いても、掲載した金額はその日の紙面に残ります。買取参考価格を載せる場合、掲載日の相場に対して妥当な金額であることを、掲載日基準で説明できる形にしておく必要が生じます。
期限つきのキャンペーンも同じです。報告書は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。連続して出稿する場合、前回と同じ原稿を送る運用にすると期限だけが更新されないまま残ります。入稿のたびに期限を確認してください。
消費者の自宅等で契約を締結等して行う物品の購入は、特定商取引法の訪問購入に当たります。新聞広告で出張買取を告知すること自体は訪問購入ではありませんが、広告を見た読者の自宅へ行くところから規制がかかります。
訪問購入には不招請勧誘の禁止があります。相手方の自宅等で、売買契約の締結について勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認してはならない、という定めです。ほかに、勧誘に先立って氏名・勧誘目的・購入しようとする物品の種類を告げる義務、再勧誘の禁止、書面交付義務、引渡しの拒絶に関する告知、第三者への引渡し通知があります。クーリング・オフは法定書面を受け取った日から数えて8日以内です。
広告に載せた品目と、訪問時に査定する品目をそろえてください。 国民生活センターに寄せられる相談で繰り返し登場するのは「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」という型で、古本・洋服・食器などを名目に訪問して貴金属を買い取る手口が中心です。広告で入口を広げると、この型に外形が近づきます。
行政処分は続いています。2026年8月4日、九州経済産業局は宝石・貴金属・時計等の中古品を扱う3社に対し業務停止命令9か月と指示、代表者への業務禁止命令9か月を出しました。共通する違反行為は氏名等の明示義務違反、書面の交付義務違反、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務違反、勧誘の要請をしていない者への勧誘などです。手続き義務の不履行で止められています。
国民生活センターのPIO-NETによると、訪問購入の相談件数は2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件で、2023年度をピークに減っています。 同じ基準で比較できる点検商法は2023年度12,550件から2025年度19,696件へ増えており、方向が逆です。「押し買いが増えている」という説明は現在の数字では支持されません。
2024年度の消費生活相談は全体で91.0万件、訪問購入の7,909件は全体の0.9%です。契約当事者の年代は70歳以上が26.2%で、2015年度以降で最高でした。件数としては小さいものの、相談者の年齢層が偏っており、規模に対して規制の密度が高い領域という位置づけになります。
新聞広告は不特定多数に届く媒体で、掲載後に届く相手を選べません。そのため、電話を受けた時点でどう応対するかが入口の設計そのものになります。依頼された品目、訪問先、日時をその場で記録し、依頼の範囲を後から確認できる形にしてください。
古物営業法の側も同時に動きます。第14条第1項により、営業所または取引相手の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ることはできません。違反は第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。広告を見た客と喫茶店で会って受け取る、といった運用はここに触れます。
新聞広告の掲載料について、このページでは金額を示しません。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、根拠のある数値を出せないためです。電通の3,136億円は市場全体の出稿額であって、1枠あたりの掲載料ではありません。
比較するなら、媒体社の建値表をそろえて取ります。銘柄、発行エリア、対象となる版、掲載面、段数とサイズ、掲載日、原稿の制作費が別建てかどうかの7点をそろえないと金額の比較になりません。同じ段数でも版が違えば到達範囲が変わります。
効果の指標は、来店客数、買取が成立した点数、その原価、売却までの日数に置きます。中小企業実態基本調査(令和5年度決算実績、法人企業・小売業)では、従業者5人以下の在庫回転期間は55.9日、粗利率31.7%に対して営業利益率0.2%でした。従業者6〜20人は32.6日、31.2%、1.5%です。粗利率はほぼ同じで、差は回転に出ています。
費用の一部は小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の②広報費に当たります。第17回のガイドブック(2025年4月25日 第1版)では補助率2/3、補助上限50万円、インボイス特例で+50万円です。対象は商業・サービス業なら常時使用する従業員5人以下が目安で、公募回次ごとに条件が変わるため最新の公募要領で確認してください。
| # | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 新聞広告と折込のどちらを使うかを、範囲を絞りたいのか文章量を置きたいのかで決めているか |
| 2 | 掲載する紙面の到達範囲と、自店に持ち込める距離が対応しているか |
| 3 | 店頭買取(構成比78.2%)と出張買取(10.0%)のどちらを伸ばす原稿かを決めているか |
| 4 | 訴求する品目を、保管率や不要品の発生率から選んでいるか |
| 5 | 買取価格のほかに、受付点数・必要なもの・所要時間・支払い方法を紙面に置いているか |
| 6 | 買取参考価格を載せる場合、掲載日の相場に対する妥当性を説明できる記録があるか |
| 7 | 「買取実績価格」を載せる場合、その金額で実際に買い取った実績が手元にあるか |
| 8 | 連続出稿で前回原稿を再送する場合、キャンペーンの期限表示を入稿ごとに確認しているか |
| 9 | 出張買取を告知する場合、依頼を受けてから訪問する順序になっているか |
| 10 | 広告に載せた品目と、訪問時に査定する品目が一致する運用になっているか |
| 11 | 古物を受け取る場所が、営業所または相手方の住所・居所に限られているか(古物営業法第14条第1項) |
| 12 | 掲載料の見積もりを、銘柄・発行エリア・版・掲載面・段数とサイズ・掲載日・制作費の7点でそろえたか |
「新聞は高齢層に読まれるから買取に向く」と決めて出稿する状態です。環境省の2024年調査では、過去1年間にリユースを利用していない割合は購入で60代以上76.1%、10・20代63.2%と、高齢層のほうが利用していません。店頭での購入は40代が最多の15.1%です。年齢を根拠にすると、売る習慣のない読者へ紙面費用を置くことになります。品目を絞って説明量を置ける媒体、という理由で選んでください。
連続出稿で前回の原稿をそのまま再送し、期限つきのキャンペーン表示が残る状態です。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。新聞広告は掲載後に差し替えられないため、入稿の締切と期限の確認を同じ工程に置いてください。
広告を見た読者から電話を受け、訪問先で告知していない品目まで査定を広げる状態です。訪問購入では勧誘に先立って購入しようとする物品の種類を告げる義務があり、不招請勧誘も禁じられています。国民生活センターの相談で繰り返し登場するのは、不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られたという型です。2026年8月4日には、勧誘の要請をしていない者への勧誘などを理由に3社が業務停止命令9か月を受けています。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 新聞広告はもう出す意味がないのでしょうか | 市場全体では最も縮んでいる媒体です。2025年の新聞は3,136億円で前年比91.8%、構成比3.9%。テレビメディア99.7%、ラジオ99.2%、雑誌96.3%と比べて下げ幅が最大で、同じ年にインターネットは4兆459億円・構成比50.2%と半数を超えました。それでも出すなら、到達範囲を紙面単位で確定できること、文章量を置けること、掲載日が動かないことのどれかが自店の課題に合っているかで判断してください。体積を理由にはできません。 |
| 新聞広告と折込チラシは、どう使い分ければよいですか | 配布範囲を絞りたいなら折込、説明量を置きたいなら新聞広告です。折込は新聞販売店の配達区域単位で地域を指定できますが、新聞広告は紙面全体に載るため範囲を町丁目単位で絞れません。一方、新聞広告は紙面に文章を置けるため、査定に説明が要る品目に向きます。折込は2025年に2,354億円・前年比96.4%、新聞は3,136億円・91.8%で、どちらも縮んでいます。 |
| 新聞広告の掲載料はいくらぐらいですか | このページでは金額を示しません。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、根拠のある数値を出せないためです。電通「2025年 日本の広告費」の新聞3,136億円は市場全体の出稿額であって、1枠あたりの掲載料ではありません。比較するなら、銘柄、発行エリア、対象となる版、掲載面、段数とサイズ、掲載日、原稿制作費が別建てかどうかの7点をそろえた見積もりを取ってください。 |
| 新聞広告に買取価格を載せてもよいですか | 載せられますが、掲載後に差し替えられない点が効きます。令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることが明確化されました。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、実際に買い取ることを想定した金額を大きく上回る額を表示して著しく低い価格で買い取る場合を問題とし、買い取った実績のない金額を買取実績価格と表示することも不可としています。掲載日基準で妥当性を説明できる記録を残してください。 |
| 新聞広告で出張買取を告知して、電話をもらった家へ行くのは問題ありませんか | 依頼を受けてから訪問する形なら要請があったことになります。ただし訪問購入には不招請勧誘の禁止があり、相手方の自宅等で売買契約の締結について勧誘し、または勧誘を受ける意思の有無を確認することはできません。広告に載せた品目を超えて査定を広げると、要請の範囲の外に出ます。あわせて古物営業法第14条第1項により、古物を受け取れるのは営業所または相手方の住所・居所に限られ、違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。 |
| 押し買いの相談が増えていると聞きますが、出張買取の告知は避けるべきですか | 件数は減っています。PIO-NETの訪問購入は2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件で2023年度がピークです。同じ基準の点検商法は2023年度12,550件から2025年度19,696件へ増えており、増えているのは点検商法のほうです。ただし2024年度の消費生活相談全体91.0万件に対し訪問購入は0.9%と小さいにもかかわらず、行政処分は続いています。告知を避けるより、依頼の記録と書面交付の手順を先に整えてください。 |
この解決策が打ち手になりうる課題を4件挙げます。




扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。新聞広告をジャンル別に見たページを用意しています。
店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。


