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ディスプレイ広告:売る気のない人に、家に眠っている物を思い出させる広告

検索広告で拾えるのは、すでに売ると決めて検索した人です。買取の場合、その層は母数のごく一部にすぎません。環境省の調査では、過去1年間に不要品の売却・引渡しをしたことがない人が70.0%で、この割合は2012年から一貫して増えています。ディスプレイ広告が向き合うのはこの70.0%側であり、品目ごとに「どれだけ家に眠っているか」が分かる公的データがそのままターゲティングの根拠になります。クリエイティブの作り方、バナーにかかる景品表示法、原資との関係を整理します。
集客解決策 🕐 2026-08-31 / 買取ラボ編集部
ディスプレイ広告:売る気のない人に、家に眠っている物を思い出させる広告

ディスプレイ広告が狙うのは「まだ売ろうと思っていない人」で、買取ではそこが母数の大半を占める

環境省の令和6年度リユース市場規模調査によると、過去1年間に不要品の売却・引渡しを「利用したことがない」人は70.0%です。この割合は2012年の57.7%から一貫して増えており、市場全体では利用者が広がっていません。検索広告が拾えるのは、残りの3割のうち、いままさに売ろうと調べている人だけです。

この構造は、ディスプレイ広告の役割を規定します。検索広告と同じ「いま売りたい人」を別の面で取りに行くのではなく、売ろうと考えていない人に、手元の物が売れることを知らせる用途になります。買取は需要が季節や事情で突然発生する取引で、引越し、相続、家財の整理といったきっかけの前後にしか検索は起きません。

したがって成果の出方も違います。ディスプレイ広告のクリックがその場で査定申込になる比率は、検索広告より低くなります。低いこと自体は失敗ではなく、この層を取りにいく以上そうなります。問題は、低いままで買取成立に一切つながらない配信を続けることです。

判断の順序は、まず「この品目は家に眠っている物なのか、それとも発生したらすぐ動く物なのか」を分けることです。眠っている物であれば掘り起こしの余地があり、すぐ動く物であれば検索広告で拾ったほうが速くなります。次節でこれを数字で分けます。

家に眠っている量は品目でまったく違う。誰に何を見せるかはここで決まる

同じ調査は、不要品が「自宅・物置等で保管」されたままになっている割合を品目別に出しています。携帯電話・スマートフォン82.1%、ソフト・メディア類77.6%、パソコン・周辺機器77.4%、自転車72.9%、楽器類69.9%、カメラ・周辺機器68.7%と、上位は7割から8割が家の中に留まっています。

逆に、保管されずに動く品目もあります。ゲーム機器は16.1%、自動車は20.8%しか保管されていません。ゲーム機器は保管を除いた排出先のうち72.3%がリユースショップでの売却で、発生したらすぐ売られています。この品目に潜在層向けのディスプレイ広告を当てても、掘り起こす対象がほとんど残っていません。検索広告と店頭で取る品目です。

発生量の側も見ます。過去1年に不要品が発生した人の割合は、書籍29.1%、ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%、家具類17.2%、日用品・生活雑貨17.0%、ブランド品14.4%です。一方でゲーム機器は0.6%、バイク・原付0.8%、自動車1.4%と、そもそも発生する人が少ない品目もあります。

この2つを掛け合わせると、配信対象が決まります。発生率が高く保管率も高い品目(書籍56.3%、衣類51.1%、パソコン・周辺機器77.4%)は、掘り起こしの余地が最も大きい組み合わせです。発生率が低く保管率も低い品目(ゲーム機器、自動車)は、ディスプレイ広告の主戦場になりません。

「高く買います」だけのクリエイティブは、動機の半分しか触れていない

環境省の調査は、排出先を選んだ理由も聞いています。複数回答では金銭的な理由56.0%が最多ですが、次が「煩雑な手続きや準備をしなくてすむから」39.4%、「まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから」33.6%、「自分で運搬する必要がなく、家まで取りに来てくれるから」16.1%と続きます。

最も重視した理由を1つだけ選ばせると、金銭的な理由は39.7%まで下がります。手続きの煩雑さの排除が19.2%で単独2位、有効利用が14.6%、運搬不要が6.2%です。価格で決めている人は4割弱で、残り6割は手間・気持ち・利便性で決めています。

この配分は、クリエイティブの訴求を分ける根拠になります。価格訴求のバナーだけを回している場合、最重視理由の4割にしか当たっていません。手続きの簡単さ(申込から査定までの手数)、運搬の代行(出張・宅配)、まだ使える物が使われること、の3方向は、それぞれ別の層に当たります。

支払い方向が逆になる品目もあります。保管を除いた排出時に「支払い(費用負担)」が発生した割合は、テレビ・洗濯機・冷蔵庫・エアコンで44.0%、家具類で26.4%です。これらを扱うなら、価格の高さより「費用をかけずに引き取る」ことのほうが、対象者の実感に合います。カメラ・周辺機器92.3%、ソフト・メディア類87.4%、ゲーム機器87.2%のように9割前後が有償で売れている品目とは、訴求の軸が別になります。

品目別の掘り起こし余地(環境省「令和6年度リユース市場規模調査報告書」本編 第3章より作成)

品目不要品の発生率保管されたままの割合リユースショップ売却のシェアディスプレイ広告の向き
書籍29.1%56.3%37.3%向く(発生も保管も多い)
ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%51.1%31.3%向く
パソコン・周辺機器11.2%77.4%記載なし向く(保管が突出)
ソフト・メディア類12.7%77.6%32.8%向く(宅配訴求と相性)
携帯電話・スマートフォン記載なし82.1%記載なし向く(保管率が最大)
ブランド品14.4%53.4%22.7%向く
家具類17.2%58.1%記載なし条件つき(26.4%が費用負担で排出)
ゲーム機器0.6%16.1%72.3%向かない(発生後すぐ動く)
自動車1.4%20.8%記載なし向かない

バナーの1行にも景品表示法がかかる。画像の中の文字も表示である

消費者庁は令和6年4月18日に景品類等の指定の告示の運用基準を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。令和7年4月30日には買取業者50社の広告を調べた実態調査報告書を公表し、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。この対象は広告の媒体を選びません。バナー画像に焼き込まれた文字も表示です。

ディスプレイ広告で特に触れやすいのは「何でも買取り」と「買取参考価格・買取実績価格」の2つです。バナーは面積が小さく、目を引く語を大きく置く形式のため、条件を書き切れません。「何でも買取」と出して持ち込まれた物の一部または全部を買い取らなければ優良誤認にあたります。買い取った実績のない金額を実績価格として表示することも不可です。

報告書は、強調表示を行う場合に例外があるなら打消し表示を分かりやすく適切に行うことを求めています。バナーは打消し表示を置くには不向きな形式で、小さい文字を隅に入れても読める大きさになりません。書ける条件だけを書く、あるいは強調表示自体を使わない、という設計のほうが実務上は成立します。

着地ページ側にも表示義務があります。古物営業法第12条第2項は、事業規模が著しく小さい場合等を除き、氏名・許可した公安委員会の名称・許可証番号をインターネット上で公衆の閲覧に供する義務を定めています。広告からの流入先ページにこの表示があるかを、配信前に確認します。

配信を増やすほど買取原資が同時に要る。認知目的でも支出は増える

ディスプレイ広告が効いた結果として起きるのは、査定の増加と買取代金の支払いの増加です。買取は客にその場で現金を渡し、売れてから回収する取引なので、集客が伸びた月は現金が最も減ります。広告費だけを予算化して原資を置き忘れると、成果が出た時点で配信を止めることになります。

中小企業実態基本調査(令和6年確報・法人企業・小売業)では、従業者5人以下の在庫回転期間は55.9日、6〜20人は32.6日です。買取業に限った統計ではありませんが、同規模の小売業と比べる物差しとして使えます。小規模帯では仕入れた物が現金に戻るまで約2ヶ月かかります。

同じ調査で、粗利率は5人以下が31.7%、6〜20人が31.2%とほぼ同水準なのに、営業利益率は0.2%対1.5%と差がつきます。粗利を取れていないのではなく、在庫が現金に変わる速度で負けている構造です。広告費はこの営業利益から出ます。

ディスプレイ広告は認知から買取成立までの間隔が検索広告より長くなるため、支出と回収のずれがさらに広がります。配信額の上限は、月にいくらまで買取代金を出せるかを先に固定してから逆算します。

配信単価の相場は存在しない。判断はインプレッションではなく買取成立で行う

電通「2025年 日本の広告費」によると、インターネット広告費は4兆459億円(前年比110.8%)で構成比50.2%、うち媒体費は3兆3,093億円(111.8%)、制作費は4,922億円(104.0%)です。物販系ECプラットフォーム広告費は2,444億円(112.5%)でした。市場としては拡大しています。

これは市場全体の出稿額であって、1店舗あたりの費用ではありません。買取業のインプレッション単価やクリック単価をまとめた一次情報は存在しないため、ここでは相場を示しません。外部の解説にある単価を予算の根拠に据えると、自社の数字が高いのか安いのかを判断できないまま配信量を動かすことになります。

同じ資料で、紙で配る媒体は縮小しています。折込2,354億円(96.4%)、ダイレクト・メール2,708億円(94.6%)、フリーペーパー1,056億円(80.9%)です。一方で屋外3,042億円(105.3%)、交通1,736億円(108.6%)は伸びています。チラシの出稿をディスプレイ広告に振り替えるかどうかを議論するとき、市場全体の方向としてはこの通りだ、という材料までは使えます。1回あたりの費用比較には使えません。

測る指標は、表示回数やクリック率で止めません。査定申込、来店または集荷、買取成立、その1件から出た粗利まで並べて初めて、その配信面を続けるかを決められます。潜在層向けの配信は間接効果として語られがちですが、間接効果を主張するなら、配信を止めた期間の買取件数と比べるところまでやります。

出張買取を潜在層に配信するときは、相談実績のある領域だと踏まえておく

古物営業法第14条第1項は、古物を受け取れる場所を営業所または取引相手の住所・居所に限っています。出張買取はこの規定に基づく形式で、消費者の自宅で契約する以上、特定商取引法の訪問購入に当たります。氏名等の明示、不招請勧誘の禁止、再勧誘の禁止、書面の交付、引渡しの拒絶に関する告知、法定書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフが乗ります。

訪問購入に関する消費生活相談は、2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件と減少しています。増加傾向として語らないでください。ただし相談内容は「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」型が中心で、古本・洋服・食器などを名目に訪問して貴金属を買い取る手口が繰り返し出ています。

ディスプレイ広告は属性で配信先を絞れる形式です。高齢層に絞って出張買取を訴求する場合、この相談類型と外形が重なることを踏まえて、広告に書いた買取対象と、訪問時に実際に査定する品目をそろえます。広告で衣類・食器を訴求しながら訪問先で貴金属の話に切り替える運用は、上記の相談類型そのものです。

広告を見て自ら申し込んだ人への訪問がどこまで「勧誘の要請」を得た状態にあたるかは、条文から一律には読み取れません。ここは断定しません。確実なのは、申込のない相手の自宅で勧誘すること、契約締結の意思がないと示した相手に再勧誘することが禁止されている点です。2026年8月4日には訪問購入を行う3社に業務停止命令9か月が出ており、違反行為は氏名等の明示義務違反、書面の交付義務違反、引渡しの拒絶に関する告知義務違反でした。

確認すべきこと

#チェック項目
1配信対象の品目を、発生率と保管率の2軸で選んでいるか。保管率の低い品目に潜在層向け配信をしていないか
2価格訴求以外のクリエイティブ(手続きの簡単さ・運搬の代行・有効利用)を用意しているか
3費用負担で排出されている品目(大型家電44.0%・家具26.4%)に、価格の高さで訴求していないか
4バナー画像に焼き込んだ文言が、景品表示法の5類型に触れていないか
5「何でも買取」と表示しながら、買い取れない品目・状態があるまま配信していないか
6打消し表示が読める大きさで入らないなら、強調表示そのものを外しているか
7着地ページに古物商の許可番号と許可した公安委員会の名称を表示しているか
8月にいくらまで買取代金を出せるかを先に決め、そこから配信額の上限を置いているか
9表示回数やクリック率で止めず、買取成立とその粗利まで測っているか
10出張買取を高齢層に配信する場合、広告に書いた買取対象と訪問時に査定する品目が一致しているか

よくある失敗

検索広告と同じキーワード発想でディスプレイ広告の配信対象を組み、すでに売ると決めている層だけを追いかけてしまうケースがあります。買取では売却・引渡しを「利用したことがない」人が70.0%を占め、しかもこの割合は2012年の57.7%から増え続けています。ディスプレイ広告の対象はこちら側で、成果の出方も別に測ります。

「高価買取」の一点張りでクリエイティブを回し、価格で決めていない層を取りこぼす失敗があります。排出先を選んだ理由のうち最重視されたものは、金銭的な理由39.7%に対し、煩雑な手続きの排除19.2%、有効利用14.6%、運搬不要6.2%です。価格訴求は最重視理由の4割弱にしか当たっていません。

バナーに「何でも買取」「買取実績価格」と入れたまま、条件や根拠を持たずに配信を続ける状態が起きます。令和6年4月18日の運用基準改定で買取サービスも景品表示法の対象になり得ることが明確化され、令和7年4月30日の実態調査報告書が5類型を示しています。バナーは面積が小さく打消し表示が機能しないため、強調表示を外すほうが安全な形式です。

よくある質問

質問回答
ディスプレイ広告は検索広告より成果が出ないのですが、止めるべきですか止める前に、対象品目が掘り起こしに向いているかを確認してください。保管されたままの割合が高い品目(携帯電話・スマートフォン82.1%、ソフト・メディア類77.6%、パソコン・周辺機器77.4%)は掘り起こす対象が家に残っています。逆にゲーム機器は保管率16.1%で、発生したらすぐ売られている品目です。ここに潜在層向けの配信を当てても伸びません。品目を入れ替えても買取成立が出ないなら、止める判断になります。
クリエイティブは何パターン用意すればよいですか本数の目安を示す一次情報はありません。訴求の軸で分けるなら、最重視理由の分布に沿って、価格39.7%、手続きの煩雑さの排除19.2%、有効利用14.6%、運搬不要6.2%の4方向を持つと、価格以外の6割に当たる面ができます。同じ軸で本数だけ増やしても、当たる層は広がりません。
バナーに「高価買取」と入れてもよいですか入れる場合、その表示に見合う実績を示せる状態にしておきます。令和7年4月30日の実態調査報告書は、買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取り、の5類型を問題になりやすい表示として整理しています。買い取った実績のない金額を実績価格として出すことは不可です。バナーは打消し表示を読める大きさで置けないため、条件つきの強調表示は避けるほうが実務的です。
チラシの予算をディスプレイ広告に振り替えるべきですか1回あたりの費用を比較できる一次情報はないため、金額での比較はできません。市場全体の方向であれば材料があります。電通の2025年の集計では、折込2,354億円(前年比96.4%)、ダイレクト・メール2,708億円(94.6%)、フリーペーパー1,056億円(80.9%)と紙で配る媒体が縮小し、インターネット広告費は4兆459億円(110.8%)で構成比50.2%です。判断は、自社の商圏でどちらが買取成立につながったかの実測で行います。
大型家電や家具の買取をディスプレイ広告で訴求する場合、何を打ち出しますか価格ではなく、費用と運搬の負担を打ち出します。保管を除いた排出時に費用負担が発生した割合は、テレビ・洗濯機・冷蔵庫・エアコンで44.0%、家具類で26.4%です。これらは本来お金を払って手放す領域で、無料または有償で引き取れること自体が差別化になります。運搬を代行することも、排出先を選んだ理由の16.1%に当たります。
高齢層に絞って出張買取のバナーを配信してもよいですか配信自体は可能ですが、訪問購入の規制と相談類型を踏まえてください。訪問購入の消費生活相談は2025年度7,523件で減少傾向にありますが、内容は「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」型が中心です。広告で衣類や食器を訴求しながら訪問先で貴金属に切り替える運用は、この類型と一致します。広告に書いた買取対象と訪問時の査定品目をそろえ、氏名等の明示・書面交付・8日間のクーリング・オフの告知を手順として固定します。

「ディスプレイ広告」が効く課題

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取扱ジャンル別に見る

扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。ディスプレイ広告をジャンル別に見たページを用意しています。

買取形式別に見る

店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。

集客解決策の他の項目

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