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電話が鳴らない:鳴った電話とこちらからかけた電話は、法的な扱いが違う

買取業の電話は問い合わせの窓口であると同時に、出張買取の入口です。相手から要請があったかどうかで、その後にできることが変わります。この記事では、特定商取引法の訪問購入で電話がどう位置づけられるか、電話口で出す金額が景品表示法の対象になること、そして電話件数に業界の目安が存在しない中で受電記録と古物営業法第16条の帳簿から自店の数字を作る手順を扱います。
集客課題 🕐 2026-08-31 / 買取ラボ編集部
電話が鳴らない:鳴った電話とこちらからかけた電話は、法的な扱いが違う

鳴った電話とこちらからかけた電話では、その後にできることが違う

出張買取は特定商取引法の訪問購入に当たります。同法第58条の4は、訪問購入を、購入業者が営業所等以外の場所において売買契約の申込みを受け、または売買契約を締結して行う物品の購入と定義しています。相手の自宅で契約する以上、店頭買取とは別の規制が全面的にかかります。

中でも効くのが第58条の6第1項です。購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、当該売買契約の締結について勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認してはならないと定めています。同条第2項は、勧誘に先立って相手方に勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘することを禁じ、第3項は契約を締結しない旨の意思を表示した者への勧誘を禁じています。

したがって、客からかかってきた電話で出張の依頼を受けた場合と、こちらから電話をかけて訪問した場合とでは、その後にできることが違います。前者は相手からの要請があるのに対し、後者は要請を得ないまま自宅で勧誘すれば第58条の6に触れます。件数を埋めるために発信を増やすという発想は、この規定と正面から衝突します。

第58条の5は、勧誘に先立って、購入業者の氏名または名称、売買契約の締結について勧誘をする目的である旨、勧誘に係る物品の種類を明らかにする義務を定めています。電話の段階で伝えた物品の種類と、訪問先で買い取ろうとする物品が違えば、この義務の履行が問題になります。

「不用品の買取」を名目にした電話は、相談の典型として公表されている

国民生活センターがまとめる訪問購入の相談件数は、2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件です。2026年度は2026年5月31日現在で826件、前年同期は823件です。2023年度をピークに減少しており、増加傾向とはいえません。

水準感を見るには、同じPIO-NETの他カテゴリと並べます。点検商法は2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と増加しています。訪問販売によるリフォーム工事は11,879件、9,839件、5,544件と大幅に減っています。訪問購入は点検商法の4割程度の件数で、しかも減っています。

件数は小さくても、相談の中身は電話の使い方に直結します。国民生活センターが挙げる相談内容は「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」という型が中心で、古本・洋服・食器などを名目に訪問し貴金属を買い取る手口が繰り返し登場します。

これは第58条の5が求める「勧誘に係る物品の種類」の明示と結びつきます。電話で伝えた品目と、実際に買い取る品目が食い違う運用は、相談として集計される形そのものです。電話で受けた依頼の品目を記録に残し、訪問時に扱う品目をそこから広げない手順にします。

電話が鳴らないのは、電話を要らなくした結果かもしれない

電話が鳴らない状態は、問い合わせが減った状態とは限りません。来店前に知りたいことが先に分かっていれば、電話をかけずに来店します。買取のチャネル別構成比は、消費者庁の実態調査報告書によれば2023年で店頭買取り78.2%、出張買取り10.0%、宅配買取り9.5%です。店頭が中心の店では、電話は来店の前段にある確認手段です。

来店前の確認は3点に集約されます。予約が要るかどうか、待ち時間がどれくらいか、何を持っていけばよいかです。この3点が事前に示されていれば、電話は減り、来店は減りません。逆に、来店数が横ばいで電話だけが減っているなら、案内が機能したという読み方ができます。

持ち物の案内は誤解が起きやすい部分です。古物営業法第15条第1項の確認義務は、第15条第2項第1号と施行規則第16条第1項により対価の総額が1万円未満の取引では免除されますが、同条第2項の7品目は金額に関係なく確認が要ります。書籍、家庭用コンピュータゲームのプログラムを記録した物、光学的方法により音又は影像を記録した物などが含まれます。

したがって、電話件数を目標に置くこと自体を疑う余地があります。見るべきは電話件数ではなく、来店件数と出張件数、そしてそれらの成立件数です。電話はそこに至る経路の一つであって、目的ではありません。

出典:特定商取引法(昭和51年法律第57号)第58条の4〜第58条の9、消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」令和7年4月30日、古物営業法第16条・第18条

電話の種類関係する規制店側の手順記録に残すこと
客からの入電(来店の問い合わせ)景品表示法(口頭で伝える金額も表示にあたり得る)予約の要否・待ち時間・持ち物を答える。金額を伝えるなら根拠を残す着信日時・要件・品目・地域・結果
客からの入電(出張の依頼)特定商取引法の訪問購入。要請があるため第58条の6第1項の不招請勧誘には当たらない第58条の5の氏名等の明示、訪問時に第58条の7の書面交付、第58条の9の引渡し拒絶の告知依頼された物品の種類、訪問日時
店からの発信(要請のない相手)第58条の6第1項・第2項要請を得ないまま自宅で勧誘・意思確認をしない—
店からの発信(断られた相手への再連絡)第58条の6第3項契約を締結しない旨の意思を表示した者に勧誘しない断られた事実と日付
不在着信への折り返し折り返し時も第58条の5の明示は同じ着信時の要件に話す範囲を限定する着信時刻・折り返し時刻・結果
営業時間外の着信—翌営業日の折り返し手順を決める時間帯別の着信件数

電話口で出す金額は、そのまま景品表示法の対象になる

消費者庁は令和6年4月18日、景品類等の指定の告示の運用基準を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。運用基準3⑷で、一般消費者から物品等を買い取る取引も、査定等をして金銭と引き換える役務を提供していると認められる場合には「自己の供給する役務の取引」に当たるとしています。

令和7年4月30日に公表された買取サービスに関する実態調査報告書は、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りです。電話口の説明はこのうち複数に関わります。

電話で「この品なら1万円以上にはなります」と伝えて、実物を見て下回る金額で買い取れば、買取価格保証の類型に近づきます。報告書は、1万円以上と強調しながら汚れを理由に5,000円で買い取る例を挙げています。買い取った実績のない金額を実績として伝えることも認められません。

実務としては、電話で答える範囲を決めておきます。品目と状態だけで金額を確定できない場合は、確定できない理由と、何を見て決まるかを伝えます。金額を伝えるなら、その根拠となる直近の取引記録を残します。古物営業法第16条の帳簿には取引の年月日、品目及び数量、古物の特徴が記載されているので、根拠の所在としては使えます。

出張の依頼を電話で受けた時点から、法定の手順が始まる

電話で出張の依頼を受けたら、訪問購入の手続きが始まります。第58条の5により、勧誘に先立って氏名または名称、勧誘の目的である旨、勧誘に係る物品の種類を明らかにします。第58条の7により、営業所等以外の場所で申込みを受けたときは、物品の種類、購入価格、代金の支払時期と方法、物品の引渡時期と方法、申込みの撤回や契約解除に関する事項などを記載した書面を直ちに交付します。

第58条の9により、相手方から直接物品の引渡しを受けるときは、引渡しを拒むことができる旨を告げます。クーリング・オフは、法定書面を受け取った日から数えて8日以内です。クーリング・オフ期間内に第三者へ引き渡した場合は、相手方に通知します。

行政処分の実例を見ると、止められているのはこの基本的な手続きです。2026年8月4日、九州経済産業局は3社に対して業務停止命令9か月と指示を出し、代表者にも業務禁止命令9か月を出しました。公表された違反行為は、氏名等の明示義務違反、書面の交付義務違反、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務違反、勧誘の要請をしていない者への勧誘、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、勧誘を受ける意思を確認しないで行う勧誘です。2025年11月26日には、消費者庁が1社に対し、勧誘・申込受付・契約締結について9か月の業務停止命令を出しています。

電話の件数を増やす前に、電話を受けてから訪問し、書面を交付するまでの手順を文書にします。誰が何を言うかが決まっていない状態で発信件数だけを増やすと、処分の対象になっている類型に近づきます。

電話件数に業界の目安はない。受電記録を作って帳簿と突き合わせる

買取業の1店舗あたり入電件数や、電話から成約までの率について、公的な統計は公表されていません。消費者庁の報告書に載っているのは買取市場規模(2023年13,274億円)とチャネル構成比までで、店舗内部の数字はありません。他社と比べる基準がないので、比較対象は自店の前月・前年になります。

受電記録として残すのは5項目です。着信の日時、要件の区分(来店の問い合わせ・出張の依頼・宅配の問い合わせ・その他)、品目、相手方の地域、結果(来店予約・訪問予約・成立せず)。これだけで、電話がどの経路につながっているかが分かります。

この記録を古物営業法第16条の帳簿と突き合わせます。帳簿には取引の年月日、品目及び数量、相手方の住所・氏名・職業・年齢が記載され、第18条第1項により最終記載の日から3年間保存されています。予約の日付と相手方で照合すれば、電話から実際の取引に至った件数が出ます。

測る順番は、入電件数、予約件数、実施件数、成立件数、買取支払額です。入電が減っても成立件数が保たれているなら、問題は電話にありません。入電はあるのに予約に至らないなら、電話口で答えている内容の側に原因があります。

鳴らない電話より、取りこぼした電話のほうが先に数えられる

電話を増やす前に確認できるのが、鳴ったのに応答できなかった電話です。査定中や接客中は電話に出られないため、少人数の店ほど取りこぼしが起きます。着信履歴から、応答できなかった件数と時間帯を1か月分集計すれば、増やす前に取り戻せる件数が分かります。

営業時間外の着信も同じです。時間帯別に並べると、開店前と閉店後のどちらに寄っているかが見えます。折り返しの手順を決めるだけで、追加の広告費なしに件数が動きます。

折り返しの電話は、相手からの着信に対する応答なので、こちらから新規に勧誘をかける電話とは性格が違います。ただし、折り返しの中で依頼されていない品目の買取を持ちかければ、第58条の5で明示した物品の種類を超えることになります。折り返しで話す範囲も、着信時の要件に限定します。

取りこぼしを埋めたうえで件数を増やす場合は、買取原資の上限を先に決めます。電話が増えれば訪問と来店が増え、支払いが先に出ていきます。中小企業実態基本調査(令和6年確報・令和5年度決算実績、法人企業・小売業)の在庫回転期間は、従業者5人以下で55.9日、6〜20人で32.6日、小売業全体で33.5日です。買取業に限った値ではありませんが、支払いが戻るまでの時間の目安になります。

確認すべきこと

#チェック項目
1電話から訪問に進む場合、相手方からの要請があったことを記録に残しているか
2電話で伝えた物品の種類と、訪問先で買い取る物品の種類が一致しているか
3契約を締結しない旨の意思を表示した相手の記録を残し、再度の勧誘を止める仕組みがあるか
4電話口で金額を伝える場合、その根拠となる直近の取引記録を残しているか
5電話で伝えた金額を下回る査定になった件数を記録しているか
6受電記録に、着信日時・要件区分・品目・地域・結果の5項目を残しているか
7受電記録と第16条の帳簿を、予約日と相手方で突き合わせているか
8応答できなかった着信の件数と時間帯を、1か月分集計しているか
9営業時間外の着信に対する折り返し手順を決めているか
10来店前の案内に、予約の要否・待ち時間・持ち物(本人確認書類)を書いているか

よくある失敗

入電が少ないことを理由に、こちらから電話をかけて訪問の約束を取りに行く失敗があります。特定商取引法第58条の6第1項は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所で勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認することを禁じています。同条第2項は勧誘に先立つ意思の確認を、第3項は断った相手への勧誘を禁じています。2026年8月4日に九州経済産業局が3社へ業務停止命令9か月と指示を出した事例でも、勧誘の要請をしていない者への勧誘が違反行為として公表されています。

電話で伝えた品目と、訪問先で買い取る品目がずれてしまう失敗があります。第58条の5は、勧誘に先立って氏名または名称、勧誘の目的である旨、勧誘に係る物品の種類を明らかにする義務を定めています。国民生活センターが公表する訪問購入の相談内容は「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」という型が中心で、古本・洋服・食器を名目に訪問して貴金属を買い取る手口が繰り返し登場します。電話で受けた依頼の品目を記録に残し、訪問時に扱う品目をそこから広げない運用にしてください。

電話口で金額を伝えて集客し、実物を見て下回る金額を提示してしまう失敗があります。消費者庁の令和7年4月30日の実態調査報告書は、買取価格保証の類型について、1万円以上と強調しながら汚れを理由に5,000円で買い取る例を挙げています。買い取った実績のない金額を買取実績価格として伝えることも認められません。電話で答える範囲を決め、金額を確定できない場合は、確定できない理由と何を見て決まるかを伝える形にしてください。

よくある質問

質問回答
電話の入電件数は、月に何件あれば正常ですか判断できる基準はありません。買取業の1店舗あたり入電件数について、公的な統計は公表されていません。消費者庁の実態調査報告書に載っているのは買取市場規模(2023年13,274億円)とチャネル構成比(店頭78.2%・出張10.0%・宅配9.5%)までです。比較対象は自店の前月・前年に置いてください。加えて、入電件数が減っても来店件数と成立件数が保たれているなら、案内が機能して電話が不要になった可能性があります。見る順番は、入電件数、予約件数、実施件数、成立件数、買取支払額です。
こちらから電話をかけて出張買取の営業をしてもよいですか訪問して勧誘する前提でかけるのであれば、特定商取引法第58条の6に注意が要ります。同条第1項は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所で勧誘をし、または勧誘を受ける意思の有無を確認することを禁じています。第2項は、勧誘に先立って勧誘を受ける意思があることを確認しないで勧誘することを禁じ、第3項は契約を締結しない旨の意思を表示した者への勧誘を禁じています。2026年8月4日には九州経済産業局が3社に業務停止命令9か月と指示を出しており、勧誘の要請をしていない者への勧誘が違反行為として公表されています。
電話で買取価格を伝えてもよいですか伝える範囲を決めておいてください。消費者庁は令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。令和7年4月30日の実態調査報告書は、買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5類型を挙げています。電話で伝えた金額を実物確認後に下回れば、買取価格保証の類型に近づきます。報告書は1万円以上と強調しながら汚れを理由に5,000円で買い取る例を挙げています。金額を伝えるなら、その根拠となる直近の取引記録を残してください。
電話を増やす前にできることはありますか取りこぼした着信の集計です。査定中や接客中は電話に出られないため、少人数の店では応答できない着信が発生します。着信履歴から、応答できなかった件数と時間帯を1か月分集計してください。営業時間外の着信も時間帯別に並べます。折り返しの手順を決めるだけで、追加の広告費なしに件数が動きます。ただし折り返しの中で、依頼されていない品目の買取を持ちかけると、第58条の5で明示した物品の種類を超えることになります。話す範囲は着信時の要件に限定してください。
訪問購入の苦情は増えているのですか減っています。国民生活センターが公表する訪問購入の相談件数は、2023年度8,623件、2024年度7,909件、2025年度7,523件で、2023年度をピークに減少しています。2026年度は2026年5月31日現在で826件、前年同期は823件です。同じPIO-NETの他カテゴリでは、点検商法が2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件と増加しており、訪問購入は点検商法の4割程度の件数です。ただし件数が減っていることと、個々の事業者が処分を受けないこととは別です。相談内容としては、名目と異なる品目を買い取る型が繰り返し登場しています。

「電話が鳴らない」に対応する解決策

この課題の打ち手になりうる解決策を12件挙げます。直接の対処だけでなく、判断材料を得る手段や外部に頼る手段も含みます。

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買取形式別に見る

店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。

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