
環境省のリユース市場規模調査(2024年)は、不要になった製品の排出・引渡し先を選んだ理由を聞いています。複数回答と、最も重視した理由を1つだけ選ぶ設問の両方があります。
複数回答では「金銭的な理由(お金が得られる、支払う費用が安くすむなど)」が56.0%で最多、次いで「煩雑な手続きや準備をしなくてすむから」が39.4%、「まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから」が33.6%でした。
| 最も重視した理由 | 割合 |
|---|---|
| 金銭的な理由(お金が得られる、支払う費用が安くすむなど) | 39.7% |
| 煩雑な手続きや準備をしなくてすむから | 19.2% |
| まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから | 14.6% |
| 自分で運搬する必要がなく、家まで取りに来てくれるから | 6.2% |
| 適切な引渡先と考えたから | 5.4% |
| 適切に処理・リサイクルされそうだったから | 4.7% |
| たまたまそのような機会があったから | 4.4% |
| 新製品への買い替えの際に小売店から勧められたから | 1.3% |
| 誰に引き渡せば良いか分からなかったから | 1.2% |
| その他 | 3.4% |
金銭的な理由が39.7%で最多であることは事実です。買取価格が重要でないという話ではありません。
ただし、最重視理由として価格を挙げた人は4割弱にとどまります。残りの6割は、手間(19.2%)、気持ち(14.6%)、利便性(6.2%)、処理の適切さ(5.4%+4.7%)で決めています。
買取業界の広告は、ほぼすべてが価格訴求です。「どこよりも高く」「買取価格20%アップ」といった表現が並びます。しかし消費者側の意思決定を見ると、価格だけを見て選んでいるわけではありません。
この傾向は他の調査でも確認できます。環境省のサステナブルファッションの取り組みでは、衣類を廃棄した理由の69%が「処理に手間や労力、費用等がかからないから」でした。
服を捨てる人は、環境意識が低いから捨てているのではありません。リユースに回すより捨てるほうが手間がかからないから捨てています。
同じ構造が買取にも当てはまります。売れば数千円になると分かっていても、その数千円のために持ち込む手間や梱包の手間が上回れば、消費者は動きません。
「自分で運搬する必要がなく、家まで取りに来てくれるから」を最重視した人は6.2%でした。数字としては小さいですが、これは出張買取の存在意義そのものです。
買取市場のチャネル別構成比を見ると、2023年で店頭78.2%、出張10.0%、宅配9.5%です。出張と宅配は合わせても2割弱にとどまります。
一方で、手間を最重視する層は19.2%います。手間を理由に動かない人の一部は、出張・宅配の存在を知らないか、それでも面倒だと感じているということになります。
価格以外で効く要素を、この調査の順に並べると次のようになります。
第一に、手続きの簡素化です。査定の申込みから受け取りまでに何回やり取りが発生するか、身分証の提示をどう簡単にするか、梱包材を送るのか。ここが19.2%に効きます。
第二に、行き先の納得感です。「まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかった」14.6%と「適切に処理・リサイクルされそうだった」4.7%を合わせると19.3%になり、手間とほぼ同じ規模です。買い取った物がどこへ行くのかを示すことは、価格と同じくらいの訴求力を持ちます。
第三に、運搬の代行です。6.2%。ここは出張買取が直接応えられます。
価格訴求が無意味なわけではありません。ただ、価格だけで戦うと4割の市場を全社で奪い合うことになります。



