
電通「2025年 日本の広告費」によると、折込は2025年に2,354億円、前年比96.4%、構成比2.9%でした。同じ年の総広告費は8兆623億円で前年比105.1%、4年連続の過去最高です。市場全体が伸びた年に減っているという位置づけになります。
同じプロモーションメディア1兆7,184億円(102.0%)の中でも方向が分かれています。屋外3,042億円(105.3%)と交通1,736億円(108.6%)は伸び、ダイレクト・メール2,708億円(94.6%)とフリーペーパー1,056億円(80.9%)は折込と同じく減っています。紙で配る媒体だけがそろって落ちています。
インターネットは4兆459億円で前年比110.8%、構成比は初めて半数を超えて50.2%になりました。折込の構成比2.9%と並べると、出稿の総量として17倍以上の差があります。どちらを主にするかという議論ではなく、規模の桁が違う媒体を比べていると認識したうえで選ぶことになります。
ここで扱っているのは市場全体の出稿額です。1店舗が1回配るときの単価をこの数字から導くことはできません。 使えるのは、この媒体が伸びているか縮んでいるかという判断材料までです。
折込は新聞に挟んで配ります。配布できる枚数の上限は、その地域の新聞購読部数で決まります。折込を検討するときは、折込単体の数字ではなく新聞そのものの動きと合わせて見ることになります。
新聞は2025年に3,136億円、前年比91.8%、構成比3.9%でした。マスコミ四媒体2兆2,980億円(98.4%)の中で最も落ち幅が大きく、テレビメディア99.7%、ラジオ99.2%、雑誌96.3%と比べても下げ方が違います。
折込の96.4%は新聞の91.8%より緩やかですが、土台が縮んでいる以上、同じ枚数を同じエリアに配り続けられる保証はありません。 昨年と同じ部数を前提に予算を組むと、実際の配布世帯が想定より少ないという形でずれます。
販売店に聞く項目は価格だけではありません。対象エリアの配布可能部数と、その部数が前年からどう動いたかを聞きます。この2つは媒体側が持っている数字で、こちらの想定より速く動いていることがあります。
紙媒体を選ぶ理由として、インターネットを使わない高齢層に届くという説明がよく置かれます。買取業でこの理由を採るなら、その高齢層がリユースを利用しているかを先に確認することになります。
環境省の2024年調査では、過去1年間にリユースを「利用したことがない」割合は、購入で10・20代が63.2%、60代以上が76.1%でした。約13ポイントの差があり、高齢層のほうが利用していません。 リユースショップ店頭での購入は40代が最多で15.1%、売却でもリユースショップの利用は30代が60代以上より4.1ポイント高くなっています。
同調査は、40代と50代の間に大きな段差があり、40代より若い世代がリユースに積極的だと整理しています。「紙が届く層」と「リユースを使う層」は同じではありません。
そのため折込を配る判断は、届く相手の年齢構成ではなく、自店に持ち込める距離に住む世帯がどれだけあるかで決めます。年齢を根拠に置くと、配布した先に売る習慣のない世帯が多く残ります。
| 媒体 | 2025年の広告費 | 前年比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 折込 | 2,354億円 | 96.4% | 2.9% |
| ダイレクト・メール | 2,708億円 | 94.6% | 3.4% |
| フリーペーパー | 1,056億円 | 80.9% | 1.3% |
| 新聞 | 3,136億円 | 91.8% | 3.9% |
| 屋外 | 3,042億円 | 105.3% | 3.8% |
| 交通 | 1,736億円 | 108.6% | 2.2% |
| インターネット | 4兆459億円 | 110.8% | 50.2% |
買取市場規模は2023年で13,274億円、チャネル別の構成比は店頭買取78.2%、出張買取10.0%、宅配買取9.5%です(消費者庁の実態調査報告書に掲載された数値。原典はリユース市場データブック2024)。
店頭が8割ということは、買取の大半は客が自分で持ってくる取引だという意味です。 持ってこられる距離の世帯にだけ届けばよく、それより外に配った分は原価としてだけ残ります。配布地域を面で指定できる媒体は、この構造と合います。
折込は新聞販売店の配達区域を単位に指定します。区域の境界と自店の商圏は一致しないため、地図で突き合わせ、区域の一部だけが商圏に入る場合はその区域を入れるか外すかを先に決めます。
一方、出張買取を主にしている事業者にとって折込の優先度は下がります。出張は10.0%で構成比が小さいうえに、訪問購入としての規制が別にかかります。店頭と出張を1枚のチラシで同時に告知するかどうかは、分けて判断してください。
環境省の消費者調査(n=1,331、複数回答)では、不要品の排出先を選んだ理由は金銭的な理由56.0%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから39.4%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから33.6%、自分で運搬する必要がなく家まで取りに来てくれるから16.1%でした。
最も重視した理由を1つだけ選ぶ設問では、金銭的な理由39.7%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから19.2%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから14.6%、運搬しなくてよいから6.2%です。最重視でも金銭は4割弱にとどまります。
買取価格を上げると仕入原価がそのまま上がります。査定額が原価だからです。これに対して「予約不要」「1点から」「その場で現金」「駐車場あり」といった手間の少なさは、原価を動かさずに来店の理由をつくります。紙面の面積配分をここで決めます。
何を買うかも刷ります。過去1年に不要品が発生した人の割合は書籍29.1%、ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%、家具類17.2%、日用品・生活雑貨17.0%、ブランド品14.4%です。発生率の高い品目を先頭に置くほど、自分に関係のある紙として読まれます。
消費者庁は令和6年4月18日に「景品類等の指定の告示の運用基準について」を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。物品を査定して金銭と引き換える役務を提供していると認められる場合、「自己の供給する役務の取引」に当たるという整理です。
令和7年4月30日の「買取サービスに関する実態調査報告書」は、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5つです。買い取った実績のない金額を「買取実績価格」と表示することは問題として名指しされています。
折込で起きやすいのは、期限を切ったキャンペーンを次号以降もそのまま刷り続けることです。報告書は、1月末までと表示しながら2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。刷る周期と期限の設定は、同じ表で管理してください。
「買取価格地域No.1」を、競合他社の買取価格を何ら調査せずに表示することも問題とされています。刷る前に、その表示を裏づける買取実績と調査結果を手元に置きます。持っていない表示は刷らない、という順序で決めます。
折込の費用相場について、このページでは金額を示しません。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、示せる数値がないためです。他で見かける「1枚あたり何円」という記載は、出所と対象エリアを確認しないまま自店に当てはめられません。
電通の2,354億円は市場全体の出稿額です。これを配布枚数で割って単価にする、といった使い方はできません。市場が縮んでいるかどうかの判断にだけ使います。
比較するなら、条件をそろえた見積もりを複数取ります。エリアと配達区域、配布部数、用紙とサイズ、印刷部数、配布日、印刷費と配布費の内訳の6点をそろえないと、金額の比較になりません。
費用の一部は小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の②広報費に当たります。第17回のガイドブック(2025年4月25日 第1版)では補助率2/3、補助上限50万円、インボイス特例で+50万円。対象は商業・サービス業なら常時使用する従業員5人以下が目安です。公募回次ごとに条件が変わるため、最新の公募要領で確認してください。
折込の評価を「問い合わせが何件来たか」で止めると、査定額を引き上げて反応を取っただけの回が最も良く見えます。買取業で反応を増やす最短手段は買取価格の引き上げであり、それは原価の引き上げそのものです。反応数だけを指標に置くと、この見分けがつきません。
見る項目は、配布から2週間の来店客数、買取が成立した点数、その原価、売却までの日数の4つです。中小企業実態基本調査(令和5年度決算実績、法人企業・小売業)では、従業者5人以下の在庫回転期間は55.9日、粗利率31.7%に対して営業利益率は0.2%でした。粗利ではなく回転で負ける構造が、この規模帯の平均です。
折込で集まった品が回転の遅い在庫に偏るなら、配布エリアより先に刷った品目リストを直します。買い取れる品目のうち、実際に売却まで進んだ品目を先頭に置き換えるほうが、同じ配布費で結果が変わります。
1回で判断しないでください。同じエリアに条件をそろえて3回配り、来店客数と成立点数の推移を見ます。1回目だけで打ち切ると、エリアが合わなかったのか紙面が合わなかったのかを切り分けられません。
| # | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 折込の配布区域と自店の商圏を地図で突き合わせ、区域の一部だけが商圏に入る区域を入れるか外すか決めたか |
| 2 | 対象エリアの配布可能部数と、その部数の前年からの増減を新聞販売店に確認したか |
| 3 | 店頭買取(構成比78.2%)と出張買取(10.0%)のどちらを告知する紙かを、1枚ごとに決めているか |
| 4 | 買取価格のほかに、予約の要否・受付点数・支払い方法・駐車場の有無を刷っているか |
| 5 | 刷る品目を、不要品の発生率が高い書籍29.1%・衣類25.8%などから先に並べているか |
| 6 | 「買取実績価格」を刷る場合、その金額で実際に買い取った実績が手元にあるか |
| 7 | 「地域No.1」等を刷る場合、競合他社の買取価格を調査した記録があるか |
| 8 | 期限を切ったキャンペーンについて、次号で差し替える段取りが刷る前に決まっているか |
| 9 | 見積もりを、エリア・部数・用紙とサイズ・印刷部数・配布日・費用内訳の6点をそろえて比較したか |
| 10 | 小規模事業者持続化補助金の②広報費で申請するかを、最新の公募要領で確認したか |
| 11 | 配布後2週間の来店客数・成立点数・原価・売却までの日数を記録する準備ができているか |
他社サイトに載っていた「1枚あたり何円」をそのまま自店の予算根拠にしてしまう状態です。折込の費用相場は一次情報として存在せず、電通の2,354億円は市場全体の出稿額であって単価ではありません。エリア・部数・用紙・配布日をそろえた見積もりを複数取り、その範囲でだけ比較してください。条件がそろっていない見積もりは、安く見えているだけのことがあります。
「高齢層に届くから紙を使う」と決めてしまう状態です。環境省の2024年調査では、リユースを過去1年間に利用していない割合は60代以上76.1%、10・20代63.2%で、高齢層のほうが利用していません。店頭購入は40代が最多の15.1%です。配布判断の根拠は年齢構成ではなく、自店に持ち込める距離に住む世帯数に置いてください。
期限つきのキャンペーンを刷った紙を、期限後も同じ内容で刷り続ける状態です。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例をキャンペーンの常態化として挙げています。折込は制作から配布までに時間があるため、入稿時点で期限と次号の差し替え内容を同時に決めておいてください。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 折込チラシは1回いくらぐらいかかりますか | このページでは金額を示しません。媒体別の費用相場は一次情報として取得できておらず、根拠のある数値を出せないためです。電通「2025年 日本の広告費」の折込2,354億円は市場全体の出稿額であって、1店舗あたりの費用ではありません。比較するなら、エリアと配達区域、配布部数、用紙とサイズ、印刷部数、配布日、印刷費と配布費の内訳の6点をそろえた見積もりを複数取ってください。条件がそろっていない見積もりは金額の比較になりません。 |
| 折込はもう効果がないのでしょうか | 市場全体では縮んでいます。2025年の折込は2,354億円で前年比96.4%、インターネットは4兆459億円で110.8%、構成比50.2%です。ただし縮んでいることと、自店で成立しないことは別です。買取市場は店頭買取が78.2%を占め、大半は客が自分で持ってくる取引です。配布地域を面で指定できる媒体はこの構造と合います。判断は市場の伸縮ではなく、自店に持ち込める距離の世帯にどれだけ届くかで行ってください。 |
| チラシに「どこよりも高く買います」と書いてよいですか | 根拠がないまま書くことはできません。令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることが明確化されています。消費者庁「買取サービスに関する実態調査報告書」(令和7年4月30日)は、どこよりも高く買取りを5類型の1つに挙げ、競合他社の買取価格を何ら調査せずに「買取価格地域No.1」と表示する場合を問題として示しています。表示を裏づける調査結果を持っているかどうかが分かれ目です。 |
| 折込と新聞広告は、どちらを先に考えるべきですか | 配りたい範囲が自店の商圏に収まるなら折込が先です。折込は新聞販売店の配達区域単位で地域を指定できますが、新聞広告は紙面全体に載るため配布範囲を絞れません。ただし折込は新聞に挟むため、部数の上限は新聞購読部数に縛られます。新聞は2025年に3,136億円・前年比91.8%とマスコミ四媒体で最も落ちており、折込の土台も同じ方向に動いている点は踏まえてください。 |
| 配ったあと、何を見て続けるか止めるかを決めればよいですか | 反応数ではなく、来店客数・買取成立点数・その原価・売却までの日数の4つで見てください。買取業で反応を増やす最短手段は買取価格の引き上げで、それは原価の引き上げそのものです。中小小売業(従業者5人以下)では在庫回転期間55.9日、粗利率31.7%に対し営業利益率0.2%で、回転で負ける構造が平均像です。同じエリアに条件をそろえて3回配り、推移で判断してください。 |
| チラシの費用に使える補助金はありますか | 小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の補助対象経費8区分のうち、②広報費にチラシと看板が該当します。第17回のガイドブック(2025年4月25日 第1版)では補助率2/3、補助上限50万円、インボイス特例で+50万円、賃金引上げ特例で+150万円、両方を満たす場合は+200万円です。対象は商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)なら常時使用する従業員5人以下が目安で、買取店はここに当たります。補助率と上限は公募回次ごとに変わるため、最新の公募要領で確認してください。 |
この解決策が打ち手になりうる課題を10件挙げます。










扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。折り込みチラシをジャンル別に見たページを用意しています。
店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。


