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来店数が伸びない:数えるべきは人の数ではなく、運ばれてきた点数と金額

買取の来店数は、売上ではなく仕入の量として現れます。来店が同じでも1件あたりの持込点数が減れば仕入は減り、点数が同じでも査定額を上げれば現金だけが減ります。この記事では、店頭が78.2%を占める構造が古物営業法第14条第1項の受け取り場所の制限と、客が自分で運べる距離という物理条件から成り立っていることを整理し、来店の中身を古物営業法第16条の帳簿から分解する手順を示します。
集客課題 🕐 2026-08-31 / 買取ラボ編集部
来店数が伸びない:数えるべきは人の数ではなく、運ばれてきた点数と金額

来店数は「人の数」ではなく「運ばれてきた点数と金額」で見る

買取店の来店は、客が支払う来店ではなく、こちらが支払う来店です。したがって来店数の増減は、売上の増減ではなく仕入の増減として読みます。来店数が横ばいでも、1件あたりの持込点数が減っていれば仕入は減っています。

この分解に使える記録は制度として手元にあります。古物営業法第16条は、古物を受け取り、または引き渡したときに、その都度、取引の年月日、品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、第15条第1項でとった措置の区分を記載する義務を定めています。数量が記載事項に入っているので、1件あたりの持込点数は帳簿から出せます。

第18条第1項により、帳簿は最終記載の日から3年間、営業所等に備え付けます。つまり過去3年分の取引日・品目・数量・相手方が、様式の定まった形で残っています。来店数が伸びないという状態を、成立件数・持込点数・支払額・相手方の年代と地域に分解するための材料は、追加の投資なしにそろっています。

分解すると、対応が変わります。成立件数が減っているなら集客側、点数が減っているなら持ち込みの理由側、支払額だけが増えているなら査定側の問題です。来店数という1つの数字では、この3つが同じに見えます。

店頭78.2%は、受け取れる場所が法律で限られていることの裏返しでもある

消費者庁が令和7年4月30日に公表した買取サービスに関する実態調査報告書によれば、2023年の買取市場規模は13,274億円で、チャネル別構成比は店頭買取り78.2%、出張買取り10.0%、宅配買取り9.5%です。買取の約8割は、客が品物を持って店に来ることで成立しています。

この偏りには法律上の背景もあります。古物営業法第14条第1項は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めています。仮設店舗については、日時と場所を事前に管轄公安委員会へ届け出れば使えます。第32条により、第14条第1項の違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。

つまり、受け取れる場所は営業所か、相手方の住所・居所か、届け出た仮設店舗のいずれかです。来店が減ったからといって、駅前で受け取る、喫茶店で受け取るという運用に切り替えることはできません。

代替になるのは、相手方の住所へ出向く出張買取と、非対面で受ける宅配買取です。ただしどちらも別の規制が乗ります。出張買取は特定商取引法の訪問購入に当たり、宅配買取は施行規則第15条第3項の非対面の確認方法に従います。来店数の不足をチャネルの追加で埋める場合は、規制の追加とセットで考えます。

来店できるかどうかは、商材の大きさと重さで先に決まっている

環境省の令和6年度リユース市場規模調査によれば、過去1年に不要品が発生した人の割合は、書籍29.1%、ブランド品を除く衣類・服飾品25.8%、家具類17.2%、日用品・生活雑貨17.0%、ブランド品14.4%、ソフト・メディア類12.7%、パソコン・周辺機器11.2%です。書籍と衣類が突出しています。

発生量の上位が、そのまま持ち込める大きさの商材になっています。買取店の集客商材として本と服が使われるのは、発生量と可搬性が両方そろっているためです。

一方で、家具類は排出時に26.4%が費用を負担して手放しており、テレビ・洗濯機・冷蔵庫・エアコンでは44.0%が費用負担です。これらは客が金を払って処分している領域で、そもそも店に運ばれてきません。大型商材の来店を増やそうとしても、物理的な制約が先に立ちます。

来店数を伸ばす施策を組む前に、自店の主力商材が持ち込める大きさかを確認します。持ち込めない商材が主力なら、来店数ではなく出張の件数を指標に置き換えるほうが実態に合います。

出典:古物営業法第16条・第18条、中小企業庁「中小企業実態基本調査 令和6年確報(令和5年度決算実績)」法人企業・小売業。回転期間は買取業に限定した値ではなく、同規模の小売業と比べるための物差し

見る数字出どころ増減が示すもの注意
受付件数自店の受付記録集客の到達成立しなかった来店も含む
成立件数古物営業法第16条の帳簿(取引の年月日)実際に仕入れた回数3年分さかのぼれる(第18条第1項)
1件あたり持込点数帳簿の品目及び数量来店の中身の変化確認・記帳が免除される取引は帳簿に載らない
1件あたり買取支払額自店の支払記録原資の消費速度査定額を上げれば件数が同じでも増える
相手方の年代分布帳簿の年齢どの年代が来なくなったか比較対象は全国値ではなく自店の前年
相手方の地域分布帳簿の住所実際に到達している範囲集計は市区町村までにとどめる
在庫回転期間在庫台帳と売上原価増えた来店が現金に戻る速度中小小売業 5人以下55.9日/6〜20人32.6日/全体33.5日

来店の前で落ちている分は、価格ではなく手続きで説明がつく

環境省の調査では、排出先を選んだ理由のうち最も重視したものは、金銭的な理由39.7%、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから19.2%、まだ使用する人がいれば有効に利用して欲しかったから14.6%、自分で運搬する必要がなく家まで取りに来てくれるから6.2%です。手続きの煩雑さが単独で2番目に大きい理由になっています。

複数回答でも、煩雑な手続きや準備をしなくてすむから39.4%は、金銭的な理由56.0%に次ぐ位置にあります。来店の直前で止まっている客がいるとすれば、価格ではなく準備の負担で止まっている可能性があります。

準備の中で誤解が起きやすいのが本人確認です。古物営業法第15条第1項の確認義務は、第15条第2項第1号と施行規則第16条第1項により、対価の総額が1万円未満の取引では免除されます。ただし同条第2項の7品目は金額に関係なく確認が要ります。自動二輪車及び原動機付自転車、エアコンディショナーの室外ユニット等、家庭用コンピュータゲームのプログラムを記録した物、光学的方法により音又は影像を記録した物、電線、金属製グレーチング、書籍です。

書籍やゲームソフト、CD・DVDを集客商材にしている店では、少額の持ち込みでも毎回身分証が要ります。持ち物を事前に示していなければ、来店した客が店頭で引き返します。予約の要否、待ち時間の目安、持ち物の3点は、来店前に届く場所に置きます。

誰が来なくなったかは、帳簿の年齢欄から分かる

来店の総数だけを見ていると、構成の変化が見えません。第16条の記載事項には相手方の年齢が含まれるため、年代別の取引件数は自店で集計できます。前年と並べれば、どの年代が減ったかが実数で出ます。

参考になる全国の傾向もあります。環境省の調査では、売却で「利用したことがない」割合が最も低いのは30代の62.6%、次が10・20代の63.5%です。リユースショップでの売却は30代が60代以上より4.1ポイント高く、郵送・宅配買取での売却も30代が60代以上より2.4ポイント高くなっています。購入側では、リユースショップ店頭での購入は40代が最多で15.1%です。

全体としては、店頭買取の中心は30〜40代、フリマアプリの利用は10〜20代という分かれ方をしています。ただしこれは全国調査の値であり、商圏ごとの年齢構成は反映されません。自店の年代分布と比べる対象は、全国値ではなく自店の前年です。

年代と地域を掛けて見ることもできます。相手方の住所も記載事項なので、市区町村別・年代別の件数を出せば、どの地域のどの年代が来なくなったかまで絞れます。相手方の情報は個人情報なので、集計は市区町村までにとどめ、氏名を含む形では持ち出さない運用にします。

媒体を増やす前に、効果を切り分けられる出し方にする

来店を増やす手段として媒体を追加するとき、複数を同時に走らせると効果が切り分けられません。実務としては、月を分けて1媒体ずつ出し、受付記録の流入経路と突き合わせます。3か月で自店の1件あたり費用が出ます。

媒体の選択に使える一次情報は限られています。電通「2025年 日本の広告費」によれば、総広告費は8兆623億円で前年比105.1%、インターネット広告費は4兆459億円・前年比110.8%で構成比50.2%です。プロモーションメディアは1兆7,184億円・前年比102.0%で、内訳は折込2,354億円が96.4%、ダイレクト・メール2,708億円が94.6%、フリーペーパー1,056億円が80.9%、屋外3,042億円が105.3%、交通1,736億円が108.6%です。

この数字は市場全体の出稿額であって、1店舗あたりの費用相場ではありません。折込1回いくらという根拠には使えません。読み取れるのは、紙で配る手段が縮み、屋外と交通が伸びているという方向までです。

受付記録には、来店日、初回か再訪か、店を知った経路、査定の有無、成約の有無を残します。帳簿には取引の事実が必ず残るので、受付記録の記入漏れは取引日と相手方で後から補正できます。

来店が増えた月は、現金が減る月になる

来店数の目標を立てるときは、同時に月の買取支払額の上限を置きます。来店が増えれば支払いが増え、その回収は品が売れた後になるためです。

回収までの期間は、中小企業庁の中小企業実態基本調査(令和6年確報・令和5年度決算実績、法人企業・小売業)の在庫回転期間で見ます。従業者5人以下で55.9日、6〜20人で32.6日、小売業全体で33.5日です。買取業に限定した値ではありませんが、5人以下の水準なら今日の支払いが戻るのは約2か月後です。

同調査では、従業者5人以下の粗利率が31.7%で営業利益率が0.2%、6〜20人が粗利率31.2%で営業利益率1.5%です。粗利率がほぼ同じで営業利益率に7倍以上の差があり、差は在庫回転期間にあります。来店数を増やしても、持ち込まれた品の回転が遅ければ、増えるのは在庫と支払いだけです。

運用としては、来店の目標件数に平均支払額を掛けた金額を先に出し、手元現金と比べます。上限に達したら集客を止めるほうが、査定を絞って来店客を断るより損失が小さくなります。断られた客は再訪しません。

確認すべきこと

#チェック項目
1来店数を、成立件数・持込点数・支払額に分解して見ているか
21件あたりの持込点数を帳簿の数量欄から集計しているか
3主力商材が、客が自分で持ち込める大きさと重さに収まっているか
4持ち込めない商材が主力の場合、指標を来店数ではなく出張件数に置き換えているか
5来店前に、予約の要否・待ち時間の目安・持ち物を示しているか
61万円未満でも本人確認が要る7品目を扱う場合、その旨を来店前の案内に入れているか
7帳簿の年齢欄から年代別の取引件数を出し、前年と比べているか
8帳簿の住所から地域別の件数を出し、到達範囲を確認しているか
9媒体を複数同時に走らせず、月を分けて効果を切り分けているか
10来店の目標件数に平均支払額を掛けた金額を、手元現金と突き合わせているか

よくある失敗

来店数だけを追い、1件あたりの持込点数の低下を見落とす失敗があります。買取の来店は仕入の機会なので、件数が同じでも点数が減れば仕入は減ります。古物営業法第16条の帳簿には品目及び数量が記載事項として含まれ、第18条第1項により最終記載の日から3年間保存されています。点数は追加の仕組みなしに集計できます。件数・点数・支払額の3つを並べて、どれが動いたかを毎月確認してください。

来店が減った分を、店頭以外の場所で受け取ることで埋めようとする失敗があります。古物営業法第14条第1項は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めています。仮設店舗は日時と場所を事前に管轄公安委員会へ届け出れば使えますが、届出のない場所での受け取りは第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。代替になるのは出張買取と宅配買取で、それぞれ特定商取引法と施行規則第15条第3項の手続きが乗ります。

来店を増やす施策と買取原資の手当てを別々に決めてしまう失敗があります。来店が増えれば支払いが先に出ていき、回収は品が売れた後です。中小小売業の在庫回転期間は従業者5人以下で55.9日、6〜20人で32.6日です。5人以下の水準なら、増えた支払額の約2か月分を切らさずに持っている必要が出ます。原資が尽きた週に査定を絞ると、来店した客を断ることになり、その客は再訪しません。集客の目標件数に平均支払額を掛けた金額を、先に手元現金と比べてください。

よくある質問

質問回答
来店数の目標は、どのくらいに置けばよいですか業界平均から逆算することはできません。買取業の1店舗あたり来店数について公的な統計はなく、消費者庁の報告書に載っているのは買取市場規模(2023年13,274億円)とチャネル構成比(店頭78.2%・出張10.0%・宅配9.5%)までです。目標は、月に支払える買取金額の上限から逆算します。手元現金と在庫回転期間(中小小売業で従業者5人以下55.9日、6〜20人32.6日)から月の支払上限を決め、自店の1件あたり平均支払額で割った件数が上限になります。
来店数は変わっていないのに仕入が減っています。何を見ればよいですか1件あたりの持込点数と、品目の構成です。古物営業法第16条の帳簿には品目及び数量が記載されており、第18条第1項により3年間保存されています。月別に、成立件数・合計点数・品目別の点数を並べてください。点数が減っているなら、持ち込む理由の側で変化が起きています。品目の構成が変わっているなら、集客の届いている層が変わっています。なお、確認と記帳が免除される取引は帳簿に載らないため、1万円未満の少額買取を多く扱う店では受付記録側の集計も併用してください。
駅前やイベント会場で買取を受け付けてもよいですか事前の届出が要ります。古物営業法第14条第1項は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならないと定めており、仮設店舗については日時と場所を事前に管轄公安委員会へ届け出れば可能とされています。届出のない場所での受け取りは第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。催事買取が成立しているのは、この但書があるためです。届出の様式と期限は管轄の警察署で確認してください。
来店した客が査定まで進まずに帰ってしまいます手続きの負担が原因になっている可能性があります。環境省の調査では、排出先を最も重視した理由のうち、煩雑な手続きや準備をしなくてすむからが19.2%で、金銭的な理由39.7%に次ぐ2番目です。特に確認の場面で止まりやすくなります。古物営業法第15条第1項の確認義務は対価の総額が1万円未満なら免除されますが、施行規則第16条第2項の7品目、たとえば書籍、家庭用コンピュータゲームのプログラムを記録した物、光学的方法により音又は影像を記録した物は金額に関係なく確認が要ります。少額だから身分証は不要だと考えて来た客は、ここで引き返します。来店前の案内に持ち物を明記してください。
来店が減った原因が集客なのか商圏なのかを、どう見分けますか帳簿の相手方情報を使います。第16条の記載事項には住所と年齢が含まれるため、市区町村別・年代別の取引件数を前年と比較できます。特定の地域だけが落ちているなら、その地域への到達か競合の状況、全地域で一様に落ちているなら集客手段そのもの、特定の年代だけが落ちているなら媒体と年代のずれが疑えます。全国の傾向としては、店頭買取の中心は30〜40代です。売却で「利用したことがない」割合が最も低いのは30代の62.6%、リユースショップでの売却は30代が60代以上より4.1ポイント高くなっています。ただし比較対象は全国値ではなく自店の前年に置いてください。

「来店数が伸びない」に対応する解決策

この課題の打ち手になりうる解決策を12件挙げます。直接の対処だけでなく、判断材料を得る手段や外部に頼る手段も含みます。

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買取形式別に見る

店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。

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