
古物営業法第3条は、古物営業を営もうとする者に都道府県公安委員会の許可を課しています。許可は申請した事業者に与えられるもので、個人なら個人名義、法人なら法人名義です。契約書に「委託」と書いても、許可の名義が相手に及ぶ仕組みはありません。
したがって「本部の許可があるから、加盟した自分は取らなくてよい」という説明を受けた場合、その前提を疑ってください。自分が買い受けの当事者になるなら、自分が許可を持っていなければ、第3条の許可を受けずに古物営業を営んでいる状態になります。
無許可営業の罰則は第31条第1号で、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。第31条第2号は、偽りその他不正の手段で許可を受けた場合に同じ罰を定めています。2022年の刑法改正により懲役と禁錮は拘禁刑へ一本化され、2025年6月1日に施行されました。
警察庁の公表では、令和7年中の古物営業法違反の検挙は19件・12人で、態様別では無許可が最も多く、次いで身分確認、帳簿等記載でした。無許可は、この法律で最も多く検挙されている類型です。
業務委託、代理店、パートナー、取次といった呼び名は、法律上の分岐を決めません。決めるのは、売主から古物を買い受ける契約の当事者が誰かです。ここを契約書と実際の運用の両方で確定させてください。
型としては2つに分かれます。ひとつは、自分が買い受けの当事者になり、売主との売買契約は自分の名前で成立する形です。この場合、自分が許可を持ち、本人確認も帳簿も自分の義務になります。相手方の事業者は、販路や査定基準の提供者という位置づけです。
もうひとつは、自分は買い受けの当事者にならず、集客や取次だけを担う形です。売買契約は許可を持つ事業者と売主の間で成立し、自分はその事業者から業務委託の報酬を受け取ります。この場合でも、自分が実際に品物を受け取ったり、査定して金額を提示したり、代金を渡したりしていないかを、実態で確認してください。
書面上は集客だけの委託でも、現場で自分が品物を受け取って現金を渡していれば、実態としてどちらに当たるのかという問題が生じます。買取ラボはこの当てはめを断定しません。 想定している業務の流れを具体的に書き出したうえで、管轄の警察署防犯係に照会してください。
「うちの許可で買い取ってよい」という条件を提示されることがあります。しかし許可は事業者ごとのもので、許可を受けていない者が古物営業を営めば、その者について第3条の許可がない状態になります。許可を貸す・借りるという形を前提に事業計画を組まないでください。
手元にある古物営業法の条文の範囲では、名義を使わせる行為そのものを直接どの条で扱うかまでは示せません。買取ラボはこの点について条番号を挙げた断定をしません。 ただし、許可を持たない者が買い受けの当事者になっている状態が問題になることは、第3条と第31条第1号の関係から読み取れます。
確認先は、契約の相手方ではなく、管轄の警察署防犯係です。相手方の説明だけを根拠に進めると、問題が起きたときに責任は自分に返ります。照会の際は、誰が売主と契約するか、誰が品物を受け取るか、誰が代金を払うか、帳簿を誰が付けるか、の4点を用意してください。
自分が許可を取る道を選ぶ場合、手数料は19,000円で不許可でも返金されず、標準処理期間は約40日です。契約の交渉と並行して申請を進めれば、この40日は工程から消せます。 令和2年4月1日施行の改正により、許可は主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会による1件です。
| 確定させること | 確認の観点 | 根拠・数値 |
|---|---|---|
| 売主と売買契約を結ぶのは誰か | 自分が買い受けの当事者か、取次だけか | 許可は事業者ごと(法第3条) |
| 買い受ける者が許可を持っているか | 許可証番号がサイトに表示されているか | 法第12条第2項/無許可は第31条第1号 |
| 品物を受け取る場所 | 営業所または相手方の住所・居所に限る | 法第14条第1項/違反は第32条(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金) |
| 本人確認を行うのは誰か | 1万円未満の免除と7品目の例外も含めて割り当てる | 法第15条第1項/施行規則第16条 |
| 帳簿に記載するのは誰の帳簿か | 取引の都度記載し3年保存する主体を特定する | 法第16条・第18条第1項/違反は第33条 |
| 客先へ出向くか | 出向くなら訪問購入の規制が重なる | 特商法第58条の5〜第58条の9、クーリング・オフ8日 |
| 広告の作成権限と承認手順 | 5類型に触れる表現を誰が止めるか | 景表法(令和7年4月30日 実態調査報告書) |
| 報酬の算定基礎 | 件数・買取金額・粗利・固定のどれか | 買取金額連動は原価を押し上げる |
| 買取原資の出し手 | 現金が先に出る側を明記する | 在庫が現金に戻るまで平均55.9日(5人以下) |
| 売れ残りの負担 | 在庫リスクの所在を明記する | 粗利31.7%に対し営業利益0.2%(5人以下) |
| 相手方が処分を受けた場合 | 解除事由・在庫・未払金の扱い | 古物営業法の行政処分 令和7年 総数874件 |
第15条第1項は、買受け等をしようとするときに相手方の真偽を確認する措置を義務づけています。第16条は、古物を受け取り、または引き渡したときに、その都度、取引の年月日、品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、第15条第1項でとった措置の区分を帳簿等に記載する義務です。第18条第1項により、最終記載の日から3年間、営業所等に備え付けます。
これらは買い受けた古物商の義務です。 委託契約で「記帳は本部が行う」と取り決めても、自分が買い受けの当事者なら義務の主体は自分です。誰の帳簿にどの取引が載るのかを、契約前に紙の上で確定させてください。
罰則は第33条第1号が第15条第1項と第18条第1項の違反、第33条第2号が第16条・第17条の記載義務違反と虚偽記載について、いずれも6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。第15条第3項は、不正品の疑いがあると認めるときに直ちに警察官へ申告する義務を定めています。
第14条第1項も忘れないでください。古物商は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取れません。委託先が出向いて受け取る運用にすると、この条文と正面から向き合うことになります。 違反は第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
委託や代理店の形で最も多いのが、集客を担って客先へ出向く型です。営業所等以外の場所で売買契約の申込みを受け、または締結して物品を購入すれば、特定商取引法の訪問購入に当たります。古物営業法とは別の法律が、同じ場面に重ねて掛かります。
第58条の5は勧誘に先立って氏名または名称、勧誘目的、物品の種類を明らかにする義務、第58条の6は勧誘の要請をしていない者への勧誘の禁止、勧誘を受ける意思の確認をしない勧誘の禁止、契約を締結しない旨の意思を表示した者への勧誘の禁止を定めています。第58条の7・第58条の8は書面の交付、第58条の9は物品の引渡しを拒める旨の告知です。クーリング・オフは法定書面を受け取った日から数えて8日以内です。
この領域では処分が続いています。2026年8月4日、九州経済産業局は3社に対し業務停止命令9か月と指示を行い、代表者にも業務禁止命令9か月を出しました。公表された違反行為は、氏名等の明示義務違反、書面の交付義務違反、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務違反、勧誘の要請をしていない者への勧誘、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、勧誘を受ける意思を確認しないで行う勧誘です。適用条項は法第58条の5、第58条の6第1項・第2項・第3項、第58条の8第2項、第58条の9でした。2025年11月26日には消費者庁が別の1社に業務停止命令9か月を出しています。
処分されている理由は、名乗る・書面を渡す・断られたら引くという基本の手続きです。 委託先の担当者が個人で動く体制では、この3つが崩れやすくなります。報酬の設計より先に、現場の手順書と記録の残し方を決めてください。
消費者庁は令和6年4月18日に運用基準を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。自己が一般消費者から物品等を買い取る取引も、査定等をして金銭と引き換える役務を提供していると認められる場合は「自己の供給する役務の取引」に当たる、という整理です。
令和7年4月30日の買取サービスに関する実態調査報告書は、問題になりやすい表示を5類型に整理しています。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5つです。代理店が独自に作ったチラシやランディングページも、この5類型で読まれます。
報告書は具体例を挙げています。買い取った実績のない金額を「買取実績価格」と表示すること、期限を切ったキャンペーンを常態化させること、保証価格を強調しながら状態を理由に下回る金額で買い取ること、競合他社の買取価格を何ら調査せずに地域No.1と表示することです。委託先が独自に作った表現を放置すると、5類型のどれかに触れる確率が高くなります。
契約では、広告表現の作成権限と承認手順を決めてください。誰が原稿を作り、誰が確認し、根拠となる資料をどこに保存するかまで書いておくと、あとから表示の根拠を示せます。景品規制も同時に掛かり、次回使える買取価格アップ券は景品類として総付景品の上限(取引価額が1,000円以上なら取引価額の20%、1,000円未満なら200円)の対象です。
買取業は仕入原価を自分で決められる商売です。査定額がそのまま原価になります。 委託先の報酬を成約件数や買取金額に連動させると、査定額を上げれば報酬が増える構造になり、原価が押し上げられます。粗利率が下がったときの原因は「コストが上がった」ではなく「買取価格を上げた」です。
中小企業実態基本調査(令和6年確報・令和5年度決算実績、法人企業・小売業)では、従業者5人以下の層が粗利率31.7%・営業利益率0.2%、従業者6〜20人の層が粗利率31.2%・営業利益率1.5%です。買取業に限定した統計ではないため、同規模の小売業と比べる物差しとして使ってください。粗利率は小さい層のほうが高いのに、営業利益率で大きく劣っています。
差がついているのは在庫回転です。5人以下は在庫が現金に戻るまで平均55.9日、6〜20人は32.6日で、約1.7倍の開きがあります。委託の形にしても、この時間差は消えません。 誰が買取原資を出すのかを契約で決めていないと、現金が先に出ていく側だけが資金繰りを負担します。
契約で確定させるのは、報酬の算定基礎(件数か、買取金額か、粗利か、固定か)、支払時期、買取原資の出し手、在庫が売れ残ったときの負担の所在の4点です。売れ残りのリスクを誰が負うかを決めていない契約は、必ず後で揉めます。
提携先を選ぶとき、条件の良さだけで決めないでください。警察庁の公表では、令和7年中の古物営業法に基づく行政処分は総数874件で、内訳は取消し11件(前年比+8)、営業停止8件(同+7)、指示855件(同+1)です。取消しと営業停止が前年から増えています。
特定商取引法の側でも、消費者庁・地方経済産業局・都道府県が処分を公表しており、処分件数は2025年度80件、2026年度は2026年8月時点で23件です。公表は事業者名・処分内容・取引類型・取扱商品・違反行為・適用条項・処分日・処分行政庁が1件ずつ載る形式で、処分日の属する年度の翌年度から5年間掲載されます。 提携先の名前で検索できます。
確認すべきは、相手方が古物商許可を現に持っているか、許可証番号が公表されているか、行政処分の履歴がないかの3点です。第12条第2項は、事業規模が著しく小さい場合等を除き、氏名、許可した公安委員会の名称、許可証番号をインターネット上で公衆の閲覧に供する義務を定めているので、相手方のサイトにこの表示があるかは最初の判断材料になります。
相手方が処分を受ければ、その体制に乗っていた自分の売上も止まります。契約書には、相手方が行政処分を受けた場合の取扱い、契約の解除事由、その間の在庫と未払金の扱いを入れてください。条件交渉より先に、止まったときの取り決めを詰める順序にしてください。
| # | チェック項目 |
|---|---|
| 1 | 売主と売買契約を結ぶ当事者が誰かを、契約書と現場の運用の両方で確定させたか |
| 2 | 自分が買い受けの当事者になる場合、自分名義の古物商許可を取る前提で工程を組んだか |
| 3 | 「相手方の許可で買い取ってよい」という説明を、警察署防犯係に照会して確かめたか |
| 4 | 品物を受け取る場所を、営業所または相手方の住所・居所に限る運用にしているか |
| 5 | 本人確認と記帳を行う主体を、取引の型ごとに割り当てたか |
| 6 | 客先へ出向く場合、氏名等の明示・書面交付・再勧誘の禁止を手順書に落としたか |
| 7 | 委託先が作る広告の作成権限と承認手順、根拠資料の保存場所を契約に書いたか |
| 8 | 報酬の算定基礎と支払時期を確定させ、買取金額連動が原価を押し上げる影響を見積もったか |
| 9 | 買取原資を誰が出すか、売れ残った在庫を誰が負うかを契約に明記したか |
| 10 | 相手方の許可証番号の公表状況と、行政処分の履歴を確認したか |
| 11 | 相手方が処分を受けて止まった場合の解除事由・在庫・未払金の扱いを決めたか |
「本部が許可を持っているので加盟者は取らなくてよい」という説明を受け入れて始めてしまうケースです。許可は事業者ごとに与えられ、契約で名義が及ぶ仕組みはありません。自分が買い受けの当事者になるなら、自分が第3条の許可を持たない状態で古物営業を営むことになり、第31条第1号の3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の問題になります。令和7年中の古物営業法違反の検挙19件・12人のうち、態様別で最も多いのが無許可でした。相手方の説明ではなく管轄の警察署防犯係に照会してください。
書面上は集客の委託にしながら、現場では委託先が品物を受け取り、査定して金額を提示し、現金を渡している状態です。契約の呼び名ではなく、誰が買い受けの当事者かで判定されます。加えて第14条第1項により、古物を受け取れるのは営業所または相手方の住所・居所に限られ、違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。業務の流れを、誰が契約し・誰が受け取り・誰が払い・誰が記帳するかの4点で書き出してから契約してください。
報酬を買取金額や成約件数に連動させ、査定額の管理を委託先に任せてしまう設計です。買取業は査定額がそのまま原価になるため、報酬が買取金額に連動すると原価が押し上げられます。中小企業実態基本調査では、従業者5人以下の小売業は粗利率31.7%に対して営業利益率0.2%、6〜20人は粗利率31.2%に対して1.5%で、在庫回転は55.9日と32.6日です。粗利を削ったうえに在庫が滞留すると、件数が伸びるほど現金が減ります。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 代理店契約なら自分で古物商許可を取らなくてよいですか | 自分が買い受けの当事者になるなら取ります。古物営業法第3条の許可は事業者ごとに与えられ、契約によって相手方の許可が自分に及ぶ仕組みはありません。無許可営業は第31条第1号で3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。自分が集客や取次だけを担い、売買契約は許可を持つ事業者と売主の間で成立する形なら別の整理になりますが、当てはめは実態で判断されるため、業務の流れを具体的に示して管轄の警察署防犯係に照会してください。 |
| 業務委託と代理店で、法律上の扱いは変わりますか | 呼び名では変わりません。決めるのは、売主から古物を買い受ける契約の当事者が誰かです。自分が当事者なら、許可も本人確認(第15条第1項)も記帳(第16条)も3年保存(第18条第1項)も自分の義務になります。取次だけなら、これらの義務は買い受けた古物商の側に付きます。契約書の表題ではなく、誰が契約し・誰が受け取り・誰が払い・誰が記帳するかで確定させてください。 |
| 委託先が客先へ出向いて買い取る形は問題ありませんか | 古物営業法と特定商取引法の両方が掛かります。第14条第1項により古物を受け取れるのは営業所または相手方の住所・居所に限られ、違反は第32条で1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。営業所等以外の場所で申込みを受け、または契約を締結すれば訪問購入に当たり、氏名等の明示(第58条の5)、不招請勧誘と再勧誘の禁止(第58条の6)、書面の交付、引渡しの拒絶に関する告知(第58条の9)、8日間のクーリング・オフが適用されます。2026年8月4日には九州経済産業局が3社へ業務停止命令9か月と指示を出しています。 |
| 委託先が作ったチラシの表現にも責任がありますか | 契約前に作成権限と承認手順を決めてください。消費者庁は令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。令和7年4月30日の実態調査報告書は、買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証、何でも買取り、どこよりも高く買取りの5類型を挙げています。買い取った実績のない金額を買取実績価格と表示する、期限付きキャンペーンを常態化させる、競合の買取価格を調査せずに地域No.1と表示する例が具体的に示されています。 |
| 報酬はどのように決めるのが妥当ですか | 相場を示せる一次情報がないため、金額も率も示しません。決めるべきなのは算定基礎です。買取金額や成約件数に連動させると、査定額を上げれば報酬が増える構造になり、査定額がそのまま原価になる買取業では粗利が直接削られます。中小企業実態基本調査では、従業者5人以下の小売業が粗利率31.7%・営業利益率0.2%、6〜20人が31.2%・1.5%で、在庫回転は55.9日と32.6日です。報酬の算定基礎、支払時期、買取原資の出し手、売れ残りの負担の4点を契約に書いてください。 |
| 提携先はどう確認しますか | 許可の有無、許可証番号の公表、行政処分の履歴の3点です。法第12条第2項は、事業規模が著しく小さい場合等を除き、氏名、許可した公安委員会の名称、許可証番号をインターネット上で公衆の閲覧に供する義務を定めています。行政処分は、古物営業法で令和7年中に総数874件(取消し11件・営業停止8件・指示855件)、特定商取引法では消費者庁・地方経済産業局・都道府県が公表しており2025年度80件、2026年度は2026年8月時点で23件です。特商法の公表は処分日の属する年度の翌年度から5年間掲載され、事業者名で検索できます。 |
この解決策が打ち手になりうる課題を6件挙げます。






扱う商材によって、不要品の発生量も、値段が付くかどうかも、どこに売られるかも変わります。業務委託・代理店契約をジャンル別に見たページを用意しています。
店舗を構えるか、出張に出るか、宅配で受けるか。買取形式によって前提となる商圏も、かかる規制も変わります。


