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買取価格表の運用:社内の価格表と、客に見せる価格表は別の文書として作る

買取価格表は、掲示した時点で景品表示法の表示になります。消費者庁は令和6年4月18日に運用基準を改定し、買取サービスも規制対象になり得ることを明確化しました。一方で、価格表どおりに買えたかどうかは古物営業法第16条の法定帳簿からは追えません。記載事項に買取金額が含まれていないためです。この記事では、社内価格表と公開価格表を分けて作る理由、更新の間隔をどこから決めるか、そして運用実績を残すために自店で作る記録を整理します。
運営解決策 🕐 2026-08-31 / 買取ラボ編集部
買取価格表の運用:社内の価格表と、客に見せる価格表は別の文書として作る

価格表は掲示した時点で、景品表示法の表示になる

価格表を店頭やサイトに出すと、それは自店の表示になります。消費者庁は令和6年4月18日、「景品類等の指定の告示の運用基準について」を改定し、買取サービスも景品表示法の規制対象になり得ることを明確化しました。運用基準3⑷は、査定するなどして物品等を金銭と引き換えるという役務を提供していると認められる場合に「自己の供給する役務の取引」に当たると規定しています。

その1年後、消費者庁は買取業者50社の広告をサンプリング調査し、消費者アンケートと業者14社・関係団体2団体へのヒアリングを行って、令和7年4月30日に「買取サービスに関する実態調査報告書」を公表しました。問題になりやすい表示として5類型が整理されています。

5類型のうち、価格表そのものに直接かかるのは3つです。買取参考価格・買取実績価格、買取価格アップ、買取価格保証。報告書は、実際に買い取ることを想定した金額(過去の実績や直近の相場)を大きく上回る金額を表示して著しく低い価格で買い取る場合を問題として挙げ、買い取った実績のない金額を「買取実績価格」と表示することも不可としています。

残る2つは、価格表に添える見出しやキャッチコピーで触れます。「何でも買取り」は、持ち込んだ物品の一部または全部を買い取らない場合に優良誤認にあたるとされています。「どこよりも高く買取り」については、買取価格地域No.1と表示しながら競合他社の買取価格を何ら調査していない場合が、問題になる例として示されています。

社内向けの価格表と、客に見せる価格表は別物として作る

同じ表を両方に使うと、どちらかの目的を果たせなくなります。社内向けは原価の上限を決める文書で、公開用は表示です。

社内向けに要る欄は、状態区分ごとの上限と下限、控除した項目、参照した相場とその取得日、そして改定した日です。公開用に載せるのは、実際に買い取ることを想定した金額と、その金額が適用される条件(状態区分、付属品の有無、数量)です。

社内向けの上限値をそのまま公開すると、報告書が挙げる買取価格保証の類型に近づきます。1万円以上と強調しながら汚れを理由に5,000円で買い取る例が、問題になる場合として示されています。上限だけを載せて条件を書かない形は、この類型に最も近い形です。

分けたうえで、改定は連動させます。社内の上限を下げたのに公開価格表が旧版のまま残っている状態が、最も表示の問題を起こします。改定の手順に、両方の版数を同時に上げる工程を入れてください。

「いつまで」と書いたキャンペーン価格は、その日で終わらせる

報告書は、買取価格アップの類型について、実際にはアップしない場合に加えて、キャンペーンの常態化も問題としています。1月末までと表示して2月以降も同じ内容を継続する例が挙げられています。

価格表の運用では、期間限定の価格を別の面に分けます。通常価格の表と同じ面に混ぜると、期限が切れた行だけを差し替える作業になり、漏れます。

期限の管理は、開始日・終了日・終了後に戻す価格の3点を、価格表とは別の台帳に残します。終了後に戻す価格が書かれていないと、終了時に戻す先が分からず、そのまま継続されます。

同じ条件を続けたい場合は、キャンペーンとして表示するのをやめ、通常価格を改定します。表示の枠組みを変えずに期間だけ延ばす運用が、常態化として問題になります。

消費者庁の実態調査報告書(令和7年4月30日公表)が整理した5類型と、価格表運用での起きどころ

問題になりやすい表示消費者がどう受け取るか価格表運用での起きどころ
買取参考価格・買取実績価格表示価格またはそれに近い金額で買い取ってもらえる実際に買い取ることを想定した金額を大きく上回る額を載せる。買い取った実績のない額を実績価格として載せる
買取価格アップ通常の買取価格からアップされた価格になる期限を書いたキャンペーン価格を、期限後もそのまま継続する
買取価格保証必ず保証価格以上で買い取ってもらえる社内基準の上限値を、条件を書かずに公開価格表へ流用する
何でも買取り特段の条件なく、どのような状態でも買い取ってもらえる価格表の見出しに使い、実際には一部を買い取らない
どこよりも高く買取り他社と比較して最も高い競合の買取価格を調査せずに地域No.1と表示する

価格表と一緒に配るアップ券には、景品規制の上限がかかる

次回の買取時に使える買取価格アップ券、キャッシュバック、自社ポイントの付与は景品類に該当し、総付景品の上限がかかります。上限は、取引価額(買取価格)が1,000円以上なら取引価額の20%、1,000円未満なら200円です。

「20%アップ券」を配る場合、今回の買取価格の20%が上限になります。今回の買取価格が1万円なら上限は2,000円で、次回の買取価格が2万円でも4,000円を上乗せすることはできません。アップの上限が2,000円であることを券面に明記する形になります。

その場で買取価格をアップする場合は扱いが変わります。アップ分を含めた買取価格全体が取引の対価になるため、アップ分は原則として景品類に該当しません。券にするか、その場で上乗せするかで、規制のかかり方が違います。

価格表に「アップ券進呈」と書くときは、券面の記載と価格表の記載を揃えます。価格表の側に上限が書かれておらず券面にだけ書かれている状態は、表示として足りません。

更新の間隔は相場の動きではなく、在庫が現金に戻る日数から決める

更新頻度を「相場が動いたら」と決めると、動いたかどうかの判定が人によって変わります。基準に使えるのは、自店で在庫が現金に戻るまでの日数です。

中小企業実態基本調査(令和6年確報・法人企業・小売業)の在庫回転期間は、小売業全体33.5日、従業者5人以下55.9日、6〜20人32.6日です。在庫回転率はそれぞれ10.90回、6.53回、11.19回。5人以下だけが1.7倍の日数をかけています。買取業に限った統計ではないため、適正値ではなく物差しとして使います。

価格表に載せた金額で買った品物は、この日数を経て現金に戻ります。5人以下の水準にいる店なら、価格表を決めてから回収まで2ヶ月近くかかる計算です。回転が55.9日の店が価格表を四半期に一度しか改定しないなら、1サイクル分の相場変動が価格表に反映されないまま原価に乗ります。

したがって、更新の間隔は自店の回転日数より短く置きます。品目ごとに回転日数が違うなら、価格表も品目群ごとに改定の周期を分けます。全品目を同じ日に一括改定する運用は、回転の速い品目に合わせると遅い品目で手間が余り、遅いほうに合わせると速い品目が取り残されます。

価格表どおりに買えたかは、法定帳簿からは分からない

第16条は、古物を受け取り、または引き渡したときに、その都度帳簿等へ記載する義務を定めています。記載事項は、取引の年月日、品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、第15条第1項でとった措置の区分の5つです。

この5項目に買取金額は入っていません。第18条第1項により3年分の帳簿が手元にあっても、価格表の水準で実際に買えたのか、幅を外して買ったのかは、そこからは読めません。価格表の運用実績を法定帳簿から追うことはできない、という前提から始めます。

したがって、実績は自店で別に記録します。要る欄は、日付、品目、状態区分、価格表の該当金額、実際の提示額、差が出た理由の6つです。この記録がないと、価格表の改定は相場の観察だけを根拠に行うことになります。

買い取らなかった件も同じ欄で残します。価格表を見て来店した客が提示額に応じなかった件は、古物を受け取っていない取引なので第16条の記帳対象外です。成約分だけを集計すると、価格表の水準が低すぎて帰られた件が見えません。

価格表の対象品目は、本人確認が要る品目と重ねて確認する

第15条第1項は、買い受けようとするときに相手方の真偽を確認する措置をとる義務を定めています。第15条第2項第1号で、対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満の取引は免除され、その金額は施行規則第16条第1項で1万円と定められています。

ただし施行規則第16条第2項は、1万円未満でも確認が要る7品目を挙げています。自動二輪車及び原動機付自転車(ねじ・ボルト・ナット・コード等の汎用部分品を除く部分品を含む)、エアコンディショナーの室外ユニットと電気温水機器のヒートポンプ、専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物、光学的方法により音又は影像を記録した物、電線、金属製のグレーチング、書籍です。

法第16条ただし書は第15条第2項各号の場合を記帳義務から除いているため、確認が免除される取引は記帳も免除されます。裏を返すと、この7品目は少額でも確認と記帳の両方が要ります。

価格表に数百円から数千円の金額を載せる品目が、この7品目に当たるかを先に確認します。ゲームソフト、CD・DVD、書籍を並べた価格表は、その表を見て持ち込まれる1点数百円の取引ごとに確認と記帳が発生する運用を作ることになります。価格表の作り方が、そのまま店頭の作業量を決めます。

チャネルごとに、価格が確定するまでの時間が違う

消費者庁の実態調査報告書に掲載された買取市場規模は2023年で13,274億円、チャネル別構成比は店頭買取り78.2%、出張買取り10.0%、宅配買取り9.5%です(原典はリユース市場データブック2024)。店頭が8割弱を占めます。

店頭では、価格表の提示から成約までが同じ場面で完結します。価格表と実際の提示額に差が出たときも、その場で条件を示して説明できます。

出張買取は特定商取引法の訪問購入にあたり、法定書面を受け取った日から数えて8日以内のクーリング・オフが適用されます。価格表を根拠に現地で提示して受け取った品物は、この期間中に解除される可能性が残ります。期間内の引渡しの際には拒絶できることを告知する義務があり、期間内に第三者へ引き渡した場合は相手方への通知義務もあります。なお、二輪を除く自動車、家具、大型家電、本・CD・DVD・ゲームソフト類、有価証券はクーリング・オフの適用除外物品です(特定商取引法第26条・施行令別表第二)。

宅配買取では、価格表の金額を見て送られてきた品物の状態が、届いてから分かります。価格表と実際の提示額が離れたときの説明が、対面ではなく文書や電話になります。国民生活センターは中古自動車の相談について、買取業者に売却する際のトラブルとして強引な契約トラブルと買取後の減額トラブルもみられると説明しています。差が出たときの説明手順は、チャネルごとに分けて決めます。

確認すべきこと

#チェック項目
1社内向けの価格表と、客に見せる価格表を別の文書として管理しているか
2公開する金額が、実際に買い取ることを想定した金額(過去の実績・直近の相場)の範囲に収まっているか
3買い取った実績のない金額を「買取実績価格」として載せていないか
4公開価格表に、その金額が適用される条件(状態区分・付属品・数量)を併記しているか
5期間限定の価格を通常価格と別の面に分け、開始日・終了日・終了後に戻す価格を台帳に残しているか
6アップ券を配るなら、上限(買取価格1,000円以上は取引価額の20%、1,000円未満は200円)を券面と価格表の両方に記載しているか
7価格表の改定周期を、自店の在庫回転日数より短く置いているか
8価格表の該当金額と実際の提示額、差が出た理由を残す記録を、法定帳簿とは別に持っているか
9買い取らなかった件も同じ記録に残しているか。第16条の記帳義務は古物を受け取ったときに発生する
10価格表に1万円未満の金額を載せる品目が、施行規則第16条第2項の7品目に当たるかを確認したか

よくある失敗

社内基準の上限値をそのまま公開価格表に載せ、実際にはその金額で買えない状態が続くことがあります。消費者庁が令和7年4月30日に公表した実態調査報告書は、買取価格保証の類型について、1万円以上と強調しながら汚れを理由に5,000円で買い取る例を問題になる場合として挙げています。同報告書は買取業者50社の広告のサンプリング調査と、業者14社・関係団体2団体へのヒアリングにもとづいています。公開するのは、実際に買い取ることを想定した金額と、その金額が適用される条件に限ります。

期限を書いたキャンペーン価格を、期限後もそのまま掲示し続ける失敗が起きます。報告書は、1月末までと表示して2月以降も同内容を継続する例を、キャンペーンの常態化として問題にしています。価格表の面を分けず通常価格と同じ表に混ぜていると、期限切れの行だけを差し替える作業になり、漏れます。同じ条件を続けたいなら、キャンペーン表示をやめて通常価格を改定します。

価格表の運用実績を法定帳簿から追おうとして追えず、改定の根拠が相場の観察だけになることがあります。第16条の記載事項は、取引の年月日、品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、第15条第1項でとった措置の区分の5つで、買取金額は含まれていません。第18条第1項により3年分の帳簿があっても、価格表どおりに買えたかは読めません。価格表の該当金額と実際の提示額を並べる記録を、自店で作る以外に方法がありません。

よくある質問

質問回答
買取価格表は必ず作らなければいけないものですか古物営業法に価格表の作成を義務づける規定はありません。義務は第15条第1項の相手方の確認、第15条第3項の疑いがあるときの申告、第16条の記帳、第18条第1項の3年間の備付けなどです。ただし価格表を客に見せる形にすると、景品表示法の表示になります。消費者庁は令和6年4月18日の運用基準改定で、買取サービスも規制対象になり得ることを3⑷で明確化しました。作るかどうかは自店の判断ですが、出すなら表示の規律がかかります。
掛け率は相場の何%に設定すればよいですか品目別の適正な掛け率を示した公的データはありません。決められるのは自店の実測からです。相場から差し引くのは、販売チャネルの手数料、送料と梱包、保管、売れ残ったときの値下げ、返品や不良の発生、そして販売までの期間に相場が動く分です。最後の1つは調べた時点の相場からは読めないため、自店の在庫回転日数を当てます。中小小売業(法人企業)の在庫回転期間は全体33.5日、従業者5人以下55.9日、6〜20人32.6日でした。買取業に限った統計ではないので、比較の物差しとして使ってください。
価格表はどのくらいの頻度で更新すればよいですか業界の標準的な頻度は公表されていません。基準にできるのは自店の在庫回転日数です。価格表に載せた金額で買った品物が現金に戻るまでの日数より、改定の間隔を短くします。従業者5人以下の水準(55.9日)にいる店が四半期に一度しか改定しないなら、1サイクル分の相場変動が反映されないまま原価に乗ります。品目ごとに回転日数が違うなら、価格表も品目群ごとに周期を分けます。
「他店より高く買います」と価格表に書いてもよいですか消費者庁の実態調査報告書は、「どこよりも高く買取り」を5類型の1つとして挙げ、事実と異なる場合に問題になるとしています。買取価格地域No.1と表示しながら競合他社の買取価格を何ら調査していない場合が、問題になる例として示されています。表示の根拠として、いつ、どの範囲の競合を、どの品目で調査したかを残せる体制がないなら書けません。強調表示に例外があるときは、打消し表示を分かりやすく適切に行う形になります。
次回使える買取アップ券を価格表に載せてもよいですか券として配る場合、それは景品類に該当し、総付景品の上限がかかります。買取価格が1,000円以上なら取引価額の20%、1,000円未満なら200円です。今回の買取価格が1万円なら上限は2,000円で、次回の買取価格が2万円でも4,000円を上乗せすることはできません。券面にアップの上限が2,000円であることを明記する形になります。その場で買取価格をアップする場合は、アップ分を含めた買取価格全体が取引の対価になるため、アップ分は原則として景品類に該当しません。
価格表を見て来た客に、表より低い金額しか出せないときはどうしますか表の金額が適用される条件を、価格表の側にあらかじめ書いておく形になります。報告書は、実際に買い取ることを想定した金額を大きく上回る金額を表示して著しく低い価格で買い取る場合を問題としています。条件(状態区分、付属品の有無、数量)を書かずに上限額だけを載せると、この類型に近づきます。あわせて、価格表の該当金額と実際の提示額、差が出た理由を残す記録を作ってください。第16条の記載事項に買取金額は含まれないため、この差は法定帳簿には残りません。

「買取価格表の運用」が効く課題

この解決策が打ち手になりうる課題を7件挙げます。

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買取形式別に見る

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