2021/11/04

株式会社ZENKIGEN

ZENKIGENのアイキャッチ

株式会社ZENKIGEN

従業員数:130名

採用のデジタル化を目指し、独自開発したAI技術を用いて、採用DXを進める株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)。Web面接サービスの『harutaka(ハルタカ)』や動画による候補者解析をアシストする『harutaka EF(エントリーファインダー)』を展開する。


抱えていた課題

社内マーケティングチームの新規立ち上げ

実施した施策

マーケターとして立ち上げ期から参画

各種戦略や施策を提案

施策の効果

リード獲得・導入事例の制作チーム立ち上げに貢献

インターナルマーケティングに参加し、社内の意識改革を支えた

 

株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)は、採用のデジタル化を目指し、独自開発したAI技術を用いて、採用DXを進める企業です。Web面接サービスの『harutaka(ハルタカ)』や動画による候補者解析をアシストする『harutaka EF(エントリーファインダー)』を展開します。

 

同社にはマーケティング力の強化を目的に、2020年4月からMarcheのコンサルティングをご利用いただいてます。今回は、社内マーケティングの新規立ち上げに携わった小荷田さんと田村さんに導入背景やリード獲得の効果について、当時を振り返りながらお話いただきました。(聞き手:Marche 水島)

 


 

プロフィール

小荷田 成尭(こにた なりあき)

2014年ソフトバンク株式会社に新卒入社。ITインフラのSEとしてBI開発を行う。その後、アクセンチュア株式会社に転職し、ジョイントベンチャーである株式会社ARISE analyticsにデータサイエンティストとして参画。2019年10月に株式会社ZENKIGENへ入社。現在はデータサイエンティストとして新規事業開発、マーケティングを兼務し、ブランディングやAIプロダクトの設計など幅広く携わる。

 

田村 優季(たむら ゆうき) 

2015年楽天株式会社に新卒入社。楽天市場事業にてマーケティングに従事。その後、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社に転職し、コンシューマーカンパニーにてバンドエイドのブランディングとマーケティングを担当。2019年11月に株式会社ZENKIGENへ入社。harutakaのマーケティング業務を経て、現在はプロダクトブランディングを担当している。


未経験から立ち上げたマーケティング部門

ーー MarcheがZENKIGENさんと連携し、早いもので1年半以上が経過しました。一緒にお仕事を始めたとき、お二人はまだ入社して数カ月も経っていませんでしたよね。

田村:Marcheさんとは毎週お会いしているので、もう5年ぐらいご一緒しているイメージでいました(笑)。初めてお会いした頃は、私も小荷田さんも入社から1〜2か月しか経っていなかったと思います。元々、私はセールスチームで働く予定でオンボーディングを受けていましたが、立ち上げが決まったマーケティングチームの人手が足りないこと、一般消費者向けのマーケティングを経験していたことから、急遽アサインされたんです。

 

小荷田:僕は新規事業担当としてR&Dに所属しながら、マーケティングチームの業務を兼務していました。所属は異なりましたが、田村の社内メンターを務めていたことがきっかけで、立ち上げに参加しました。当時のチームは僕と田村、上司の3名です。

 

ーーそうした理由で二人はチームに参加したんですね。立ち上げ当初、会社や組織としてどんな課題がありましたか?

田村:まず、企業向けのマーケティング経験者が社内にいなかったことです。社内の皆がマーケティング初心者という状況で、かつ私も企業向けのマーケティングは今回が初めてでした。それまでは外部企業にマーケティングを委託していたんですが、どうしてもZENKIGEN側が上手に社内外の人を巻き込めておらず、委託先の方に舵を取ってもらってる状況だったんです。

 

また、製品の魅力を伝える機会となる導入事例も基本構成など含め、ノウハウがない状態だったのでライターさんに任せっきりで。全方位的にどのように改善していけばより自社マーケティングの効果を高められるかが、分からない状況でした。

 

小荷田:社内からは、「1商談あたりにかかるマーケティング費用を出してほしい」と依頼されていました。実際にどうなっているかと蓋を開けてみると、最上流がぐちゃぐちゃで、費用算出どころではない状況でした。プロダクトアピールからCSRに近い活動も含め、全てマーケティングの一環だと思いますが、トレンドのマーケティング手法からサービスまでいろいろと取り入れた結果、それらが有象無象になっていたんです。



ーーその状況からどのように対応されたのですか?

小荷田:費用だけがファットな状態になっていたので、KPIに関連しない施策を断捨離するところからスタートしました。この状況を例えるなら、健康オタクが各サプリの効果を理解せず、盲目的にいっぱい飲んでいる状態です。一度この状況を更地にすることで、やっと自分たちが取り組みたい施策を実行できる状態にまで整えました。

 

「1つの問い合わせがいくらになるか?」取引の決め手は複数の経営指標から単価を考えていたことだった

 ーーMarcheと出会ったきっかけを教えてください。

小荷田:社員からMarcheの水島さんを紹介してもらったのが出会いのきっかけです。最初、お話しする中で、CPA(顧客獲得単価)ではなく、MQL単価(マーケティングとしての有効リードの単価)、SAL(アポイント1件あたりの単価)、CAC(1受注あたりの単価)、LTV(顧客の継続期間を意識した単価)など、「1つの問い合わせがいくらになるか?」をさまざまな経営指標から考え、仕事をされているのが印象的でした。専門知識はもちろん、最初の打ち合わせで共通認識を持てたことから、そのままぬるっとチームに入っていただき、今も一緒に活動をしている感じです。

 

ーー参画当時、Marcheに期待していたのはどのような点でしょう?

小荷田:リード獲得を継続する仕組みがなかったので、その方法をMarcheと作れたらと思っていました。まだコロナ禍前だったこともあり、オフラインで積極的に施策を打っていましたが、どうしても場当たり感が否めず。この状況を打破する方法を一緒に模索したいと考えていました。


ーー今まで社内のメンバーが中心となり仕事をしていた中で、外部メンバーが参画することに不安はありましたでしたか?

小荷田:特に不安な点はありませんでした。どちらかというと一緒に入って仕事を巻き取る人という感覚で最初から接していたからです。フィールドと予算があり、更地に家を一緒に建てるイメージです。僕をはじめ、何名かコンサル出身の社員が所属することもあり、問題解決に必要な人材をアサインし、解決に向けて動かすプロジェクト型で仕事をすることが当たり前だったからだと思います。チームに参加してくださる水島さんの人柄や経歴も事前に伺っていたので、お会いする前から安心感はありました。

 

田村:私も前職時代から外部の人たちと連携して仕事をしていたので、抵抗感や不安はありませんでした。最初の打ち合わせで、小荷田さんと水島さんの会話のキャッチボールを見たことで、テクニカルな面はもちろん、チームメンバーともいち早く打ち解けている様子に安心感と安定感を覚えました。

 

 ーー実際に取り組みを始める中で、変化を感じたのはどんな点でしょう。

田村:Marcheさんとの取り組みで少しずつ成果が出していく中で、社内の人たちに向けたインターナルマーケティングが上手くなったと思います。取り組みを開始して4か月〜5か月経過した頃、小荷田さんがZENKIGENの企業バリューを体現している人に送られるZENKIGEN賞を受賞したのはマーケティングチーム全体が認められた気がして嬉しかったです。

 

小荷田:プロダクトの市場感覚を早い段階で掴めたことも大きな変化ですね。競合他社が顧客設定をどのようにしているかを、プロダクトマーケティングを進める中で理解できました。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、営業だけに注力する企業でいたら、他社との差別化ができず、値引きによる顧客獲得合戦に状況になっていたと思います。市場感覚を理解していたからこそ、予定よりも開発開始を半年間早め、プロダクト戦略に注力する決断ができました。

 

田村:大学や専門学校など、企業以外の顧客にも早い段階からリード獲得に向けたアプローチが行えました。セールスチームなど、他チームとのコミュニケーションも円滑に進んだと思います。

 

「安定したペースでコンテンツがリリースできるようになった」組織を巻き込んだコンテンツ制作ラインを確立した

ーー導入事例など、コンテンツ制作にも課題を抱えていたというお話ですが、一緒にお取り組みする中でどのような変化がありましたか?

田村:『事例ストラックアウト』という業界と課題をマトリクス状に整理した表を作ったことで、関係者全員がどの部分の導入事例が取れていないかなど含め、整理されたと思います。セールスやカスタマーサクセスとの連携が取りやすくなり、担当者から企業ごとの課題をヒアリングした上で記事の方向性が決められるようになりました。導入事例としての要素を押さえつつ、その企業らしさが現れるような質問ができるようになったと思います。

 

掲載写真の印象もクリックに影響するなど、私たちだけで運営していてはたどり着けない知見などをアドバイスしてもらえたことで、迷いなく制作を進められました。それまでは不定期で掲載していましたが、安定して月2本ペースで掲載できるようになりました。

 

ーー コンテンツ制作の体制が整ったことで社内からはどのような声が届きましたか?

田村:インサイドセールスから、「今回はアパレル業界の導入事例が公開されたので、今アプローチ中の〇〇企業にはこの事例を送ろう」など、顧客の状況に合わせた戦略を実践しようとチームが変化してきたと聞けたのは嬉しかったです。正直それまでは、業界や社員数など関係なく、皆様が名前を知っていそうな企業の事例を送付している状況だったと思います。ただ企業名は知っていても、自社と状況が合わなければ、中々興味を持ってもらいにくいのが正直なところではないでしょうか。しかし、事例の種類が増えたことで、より戦略的に活用してもらえるようになりました。

 

それこそ、これまではマーケティング側から企業依頼の相談をしていましたが、今ではセールスやCSから「この企業を取り上げてほしい」と依頼が来る状態になりました。代表も含め、導入事例の掲載に対する期待が大きかったので、その期待に応えらるところまで体制を整えられたのは嬉しいですね。

 

ーー コンテンツ制作に取り組む中で、特に印象的だったことを教えてください。

田村:大手企業の人事の方など業界の方を始め、社内戦略にマッチしたマーケティング企業やAIやビジネスなど各専門領域に富むライターなど、業界や職種を超えたネットワークの広さに驚きました。必要なタイミングで、そのポイントを補ってくれる人や企業を紹介してもらえたのは助かりました。

 

獲得リード数は目標の130%以上を推移。より強固なセールス体制の構築に貢献

 ーーリード獲得に向けた動きについて、当時のことを教えてください。

小荷田:最初の目標では、2.5年ぐらいかけて目標数が獲得できたらいいよねと思っていました。電話によるアウトバウンド営業などのリード獲得数が目標の130%ぐらいを常に推移したことで、目標期間は短縮しました。リード数の大幅な増加をきっかけに、インサイドの対応が現状では間に合わなくなり、急遽インサイドセールスの立ち上げを行うこととなりました。

 

ーー体制を変えないと間に合わないぐらいリード数が爆伸びしたのですね。インサイドセールスの立ち上げはどのように進められたのでしょう。

小荷田:インサイドの立ち上げ時、メインメンバーは3名、うち1名はインターンでしたZENKIGENの商材は採用をテーマにしているため、営業にも季節性が求められます。最初の頃はホットリード(確度の高い顧客)がよく分かっていない状態で無闇に電話をかけてしまったこともあり、相手からお話が聞きにくい状況でした。導入事例を読み込んでから連絡してもらうようになってからは、インサイドのクオリティを高める方に課題が向けられたと思います。

 

また、これまで1つに統一されていたセールスチームを、エンタープライズとジェネラルに分けることになったのは、インサイドセールスが上手に機能した結果です。最初の頃は1件でもアポが取れたら皆で獲得しようと動く、まるで子供のサッカーのようなスタンスでした。今のようにフォーメーションが決まってきたのは、圧倒的なリード数を確保できるようになったからです。

 

  ーー導入事例がリード獲得のお役に立てたのは大変光栄です。他に何か副次的な効果はありましたか?

小荷田:露出面が増えたことで、デザイナーが活躍する場が増えたことです。これまで力を入れていたLPだけでなく、ロゴやHPの刷新を始め、導入事例の体裁統一やFacebookバナーにアニメーションを入れるなど、デザイナーという職種が活躍できる場が増えたのはマーケティング施策を通し、コミュニケーションのタッチポイントが増えたからです。


10本のインタビュー記事が社員の自覚を変えた。インターナルマーケティングが組織に与えた嬉しい影響

ーー怒涛のマーケティング立ち上げから半年間で引き継がれましたが、その背景を教えてください。

小荷田:立ち上げ期から、システマティックにマーケティングを行う洗練する時期にフェーズが変わったためです。これまではマーケティング、インサイドセールスなど、チームごとに分断したKPIを追っかけていましたが、小舟のように小回りが利く組織だからできたと思っていて。これからシリーズBに進んでいく中で、上流から下流までを見られる人に引き継いでもらうことで、包括的に組織が見られる体制となりました。

 

ーーお二人は現在、どちらのチームで働かれていますか?

小荷田:僕も田村も現在はブランディングチームに移動し、お客様に社会的メッセージを発信する取り組みをスタートしています。今のマーケチームが短期間でリードを獲得する施策に取り組む一方で、僕たちはブランディングを通し長期的なマーケティング施策に取り組んでいます。戦略でチームを分けることによって、オペレーティブとクリエイティブが綺麗に移行された形となりました。

 

ーーブランディングとして機能する中で、チーム立ち上げ期の経験が生きている場面はありますか?

田村:マーケティングとブランディングで共通しているのは、一人でも多くのユーザーにサービスを認知してもらうための行動だということです。デザインや文言など、ひとつひとつの試作が共通しています。また、外部の方との連携はどちらも欠かせません。関係性の作り方が重要だということにマーケティングの立ち上げで気がついてからは、それぞれの相手を意識しながら双方をつなげるようにしています。マーケティングで培った知識や経験が、今でも生きています。

 

ーーマーケティングフェーズの変化によって、組織としての立ち回りが変わったなと思うことを教えてください。

小荷田:そもそも、フェーズが変化する中で自分たちの姿を認知することは難しいです。ZENKIGENはこれまで『harutaka(ハルタカ)』という採用面接サービスを販売、開発する企業として活動してきましたが、「これからはAIの会社になります」といきなり言われても、社内でも自覚できた人はほぼいなかったと思います。大企業なら、DX関連のプレスリリースや広告が打たれる中で、変化に働きかけられますが、ZENKIGENのような小舟だと「本当にそんなことができるの?」と疑いの目が向いてしまう。

 

そのタイミングで、Marcheさんと連携してAIに関するインタビュー記事『ZENKIGEN Lab Report』を10本続けてリリースしたことで、インターナルマーケティングが浸透しました。社員の意識を少しずつ変えていけたのも、これらの記事のおかげです。

 

田村:インターナルマーケティングを通し、会社の立ち位置が可視化できたため、社員の自覚と自己認知が変わった人もいます。特に感じるのが、どの企業をライバルと考えるかです。1年前と今では、社員が挙げるライバル企業の名前も大きく変わりました。

 

ーー最後に、この記事を読まれた方にメッセージをお願いします。

田村:Marcheの方に質問をすると、答えが100倍ぐらいになって返ってきます。以前、ちょっとした質問をslackで投げた際、課題と解決に向けた行動を整理し、ページ一面にアドバイスが届いたんです。本当、仕事に対する熱量に驚きました。また一緒に働くインターンにも仕事の向き合い方など、いろいろなアドバイスを伝えてくださっており、メンバー教育にもご協力いただいてます。
Marcheの方になら、マーケティングもそれ以外の内容でも安心してご相談できます。

 

小荷田:Marcheに対し、僕が凄さを覚えるのは「常にメンバーが成長し続けている」ことです。正直、常に進化しているマーケターは少ないと思っています。中には3年ぐらい前の知識で活動している人もいますしね。常に新しいことを学び、実践している人たちと一緒に働けるのは、とても刺激的です。


ーーお二人ともありがとうございました。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

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