2023/05/19

freee株式会社

freee株式会社

従業員数:916人(※2022年6月末時点、連結会社の総数)

freee株式会社は、freee会計をはじめ、freee人事労務やfreee申告など、バックオフィスの業務効率化に向けたSaaS型クラウドサービスを開発・販売しています。


抱えていた課題

広告運用、コンテンツリプレイスなどWebマーケティングの強化と支援

実施した施策

マーケターとしてチームに参加し、各種戦略や施策を提案

施策の効果

インバウンドマーケティングの強化を実現し、顧客認知度の向上に成功

freee株式会社は、freee会計をはじめ、freee人事労務やfreee申告など、バックオフィスの業務効率化に向けたSaaS型クラウドサービスを開発・販売しています。同社のIPO事業部では、マーケティングの強化を目的に、2020年5月からMarche(以下、マルシェ)のコンサルティングをご利用いただいてます。今回は、IPO事業部にてマーケティングを担当する関さんに導入背景や導入後の効果についてお話いただきました。
(聞き手:マルシェ 水島)

※部署名は取材時のものとなります

【プロフィール】
関 幸一(せき・こういち)
2020年7月freee入社。2021年7月より同事業部のマーケティングマネージャーに就任。2022年7月より組織変更に伴いインバウンドマーケティング部長に就任。

IPO事業部は会計ソフトの切り替えニーズから誕生した

ーー関さんが所属するIPO事業部について教えてください。

私たちIPO事業部では、主に上場に向けた準備を進めているIPO準備会社様を対象にfreee会計などのプロダクトをご提案したり、IPO・上場準備に特化したメディア『freee IPO支援室』などを通じてコンテンツを発信したりしています。

 

ーーどのような顧客ニーズがあったのでしょう?
IPOを目指す企業は、上場に向けた課題の洗い出しを目的として、監査法人から「ショートレビュー」という短期調査を受けます。その過程において、内部統制の課題を指摘される企業は一定あり、中には「内部統制に対応する会計ソフトへ変えてください」というコメントをもらうケースもあると聞きます。

通常、会計ソフトの入れ替え(リプレイス)は、現状お使いのシステムの更新時期が迫ったタイミングで検討するぐらいで、あまり頻度が高いとは言い辛いです。しかしIPO準備においては、前述した「内部統制強化」のタイミングで、リプレイスを検討する企業が一定発生します。

freeeでは、2017年3月から上場準備企業・上場企業向けプラン「エンタープライズプラン」を提供しており、これまで多くのIPO準備企業様にご利用いただいてきました。そして、IPO準備企業にさらに伴走すべく2019年7月よりIPO事業部が立ち上がっております。

 

企画提案、営業販売、調査業務ーーfreeeのマーケターが歩んできた異色のキャリア


ーー関さんは2020年7月にfreeeへ中途入社されたと伺いましたが、前職でもSaaS企業のマーケティングを担当されていたんでしょうか?
いえ、私の前職は国内大手のデータベース販売会社です。新卒で入社し、データベース×調査力を活かした、企業の課題解決に向けた提案を行う部署へ配属されました。データベースをこれまでとは異なる切り口で分析した上で営業ターゲットリストとして提供したり、過去の企業の倒産・廃業の傾向分析から導いた統計指標に落とし込んだりと、非定型のサービスを企画提案から販売まで手がけていたため、シンクタンクに近い働きが求められる部署でした。

 

ーーそうだったんですか、驚きました!その後、どのような仕事を担当されたんですか?
次に配属されたのは「広域重要顧客」と設定した、大手企業・金融機関・官公庁向けに非定型サービスの企画提案を担当する新設部署でした。最重要セグメントを本社直轄で営業担当するということで、主にベテランが集められたチームでした。周りに若手がいなかったため大変さもありましたが、名だたる大手企業様に対して、課題解決の提案ができることは純粋に楽しかったです。

一方で、本社直轄で営業するのであれば、今までにない営業活動を行いたいと考えており「自社にこれだけ企業データベースがあるにであれば自社のマーケティングにも力を入れるべきでは?」という話を上長にしていたところ、紆余曲折あり、デジタルマーケティングチームが新設されることになりました。私は営業とマーケの兼務という形で、立ち上げメンバーとしてそのチームに参加しました。

 

ーー企画、営業、マーケティングと関さんは随分と面白いキャリアを歩まれていますね。マーケティング部門では、どのような業務を担当していたんですか?

オウンドメディアを活用した集客、イベントセミナー、メールナーチャリングなどを行っていました。また、ABM(※)の観点から、有力な情報がないかを日々探していました。

マーケティングチームの立ち上げを終え、次は調査関連の部門へ配属されました。具体的には、毎日複数社の経営者からヒアリングを行い、その内容をレポートにまとめる業務です。実は、元々この調査業務に携わりたくて、この会社を選びました。実家がスモールビジネスを行っていることもあり、中小企業のためになるような仕事をしたいと思っていたからです。

※ABM:Account Based Marketingの略。具体的な企業や団体をターゲットとし、ターゲットアカウントからの売上を最大化するために戦略的にアプローチする手法。

ーー素敵ですね。現在はマーケターとして活躍されているわけですが、このキャリアを選ぶきっかけは何だったのでしょう。
そうですね。漠然と、転職して新しいチャレンジをするなら30歳手前の今かなと思っていたんです。この時点で、次のキャリアは営業かマーケターのどちらかと決めていました。

マーケターに決めたのは、部署立ち上げの仕事が楽しかったからです。私の強みがこれまでの経験で培ってきた「BtoBにおける解像度の高さ」だと自覚してからは、転職するならBtoB企業、特にマーケターとして成長できそうなSaaS企業が良いだろうと判断しました。

ちょうどそのころfreeeのIPO事業部の方とカジュアルに話す機会があったのですが、まだまだ小さな組織だったこともあり、事業部長がマーケも兼務していると聞きました。入社したら一人マーケターという、そのカオス感にも引かれ、縁あってfreeeに入社することになりました。

 

1人マーケターにとって、外部のマーケ企業はよき相談相手でもあり、頼れるパートナーでもある

ーーマルシェはfreeeのマーケメンバーとして関さんの入社前から参加していましたが、外部メンバーがチームの一員として働いていることに不安はありましたでしたか?

いえ、ありませんでした。むしろ、直近2年半はマーケティングから離れていたこともあり、転職への不安の方が大きかったです(笑)。1人目マーケターということもあり、入社早々からKPIを見ないといけなかったので、社内外関係なく一緒に働けるメンバーがいること自体、私には安心材料の一つでした。

 

ーーここまでを振り返り、マルシェとの仕事で特に印象的だったことを教えてください。

前提として、マルシェの皆さんからは、日々学ぶことが多かったです。特に勉強になったのは、Webサイトやブログ、SNS上で役立つ情報を提供し、freeeを見込み客に見つけてもらうための「インバウンドマーケティング」です。

私が入社した頃のIPO事業部は、見込み客となる企業へ直接アプローチするアウトバウンドマーケティングが主流でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、インバウンドマーケティングの路線へ変更する必要がありました。そこでマルシェの皆さんに協力してもらいながら、IPO事業部が当時持っていた「プロダクトページのメンテナンス」「広告の最適化」を行っていきました。

前職で扱ったことのないチャネルだったため、そもそものところから勉強させてもらえたのは、本当にありがたかったです。

 

重要なのは、いかに適切な時期にfreeeを想起させるコンテンツがつくれるか


ーーインバウンドマーケティングの施策として、IPO・上場準備に特化したコンテンツを発信する『IPO支援室』というメディア立ち上げられましたが、その設立背景を教えてください。

このメディアを立ち上げた理由は大きく2つあります。1つ目は、インバウンドマーケティングに振り切るからこそ、コンテンツを集約したサイトを作った方が顧客も閲覧しやすいと考えたからです。

前提として、IPO事業部はそもそもIPO準備企業に価値を提供するため、ターゲットとなる企業は約3,000社程度しかありません。そのため、その3,000社と確実に接点を持ち、かつ、然るべきIPO準備が進んだタイミングでfreeeを想起していただく必要があります。

コロナ禍に入ってから、ウェビナーを定期的に実施していましたが、単発の施策で終わっており、狙った効果が得られていませんでした。ウェビナー開催の必要性と届ける情報の価値について改めて考える中で、今はナーチャリングコンテンツとしてに振り切り、ウェビナーを定期開催した方が長期的に見ていいだろうという結論に達しました。

2つ目は、IPO事業部にアライアンス担当を設置できたことです。IPOマーケットでは、上場準備企業だけでなく、監査法人、印刷会社、IPOコンサル、証券会社など、さまざまなプレイヤーが存在します。上場を支える皆様との関係性構築を担うのがアライアンス担当となります。
アライアンス担当を通じて、IPO支援室を上場を支える皆様の情報発信の場として活用してもらうことで、皆様との関係性構築の場、そして顧客が有用な情報を知る場にしていきたいと考えました。

 

ーー僕から見てもIPO支援室の立ち上げから広告の打ち始めまでは早かったと思います。改めて当時を振り返り、いかがでしょうか?
そうですね。ウェビナーのイベントレポートやホワイトペーパーなどをダウンロードしてくださる方は、IPOの準備を進めているとはいえ、いろいろなフェーズの方が混在しています。上場に向けた準備を着々と進めているn-2期やn-3期の方もいれば、IPO直前という方もいらっしゃいました。

ただ、内部統制の文脈でリプレイスするタイミングが訪れるのはn-2期やn-3期の企業のため、上場準備に向けた情報を集め出しているn-4期以前の企業の方に興味を持っていただくことも大切です。n-4期以前の企業のご担当者様に、n-2、n-3になったタイミングでfreeeを想起してもらえるよう、マルシェの皆さんとどんなコンテンツが必要とされているかを日々考えていました。


ーー実際にIPO支援室に対し、どのような反応がありましたか?
顧客からは「freeeのコンテンツ拝見して興味を持ちました」とリプレイス選択肢の一つとして意識してもらえたり、「支援室、いつも見ています」「この間のウェビナー参考になりました」など有難い声が届いたりしました。

 

Marcheと、パートナーとして作り上げてきたマーケティング体制

ーーこれまでにいろいろな施策を行ってきましたが、採用サイトから抽出した情報を元にABMリストを作成したのは、データベース企業で働かれていた関さんならではの着眼点だったと思います。
コロナ禍で縮小していたとはいえ、1人マーケターとして引き続き、アウトバウンドマーケティングのキャンペーンの企画・実行をすべて自分で担っていたからこその気づきだと思います。これらの作業を通し企業を知る中で、各社に対する理解度がどんどん上がっていったからです。雑談のつもりでマルシェの皆さんへお話したところ、「その情報でABMリストを作りましょう!」と背中を押してもらえたことで、作成してみようと思いました。

そこから、エンジニアのディレクションも含めて実装まで行っていただいたスピード感も含めて感謝しています。

 

ーーMarcheと進めてきたマーケティング施策でチームの状況はどのように変わりましたか?

リードを集める、IPO支援室でナーチャリングを行う、そこからセミナーなどで検討時期が来たときにきちんと商談の機会を作り上げる。こんなフローがきちんと構築できたのがとても大きな進歩だったと思います。

 

ーー最後に今後の自社マーケティングへの展望を聞かせてください。

広告運用に始まり、IPO支援室のメディア立ち上げ、ハウスリストからの顧客コンタクトなど、マルシェの皆さんにご協力いただいたことで実現することができました。引き続き、マルシェと連携しながら、未来のユーザー様への価値提供に努めていきたいと考えています。

ーー関さん、ありがとうございました。

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